日本経済の幻想と真実

アベノミクスの挫折で深まる安倍政権の危機消費増税の先送りは国債暴落への道

2014.10.21(火)  池田 信夫

アベノミクスで日本人は貧しくなった

 安倍氏は「日本はデフレ脱却の途上にあり、もう少し時間をかければ景気は回復する」と信じているようだが、これは逆である。景気が悪化した原因は、アベノミクスなのだ。

 その最大の原因は、以前のコラムでも書いた交易条件の悪化である。これは政治家にはほとんど理解されていないが、今の状況を理解する上で重要な指標なので、くり返し説明しておこう。

 交易条件というのは輸出物価指数/輸入物価指数、つまり「輸出品1単位で輸入品が何単位買えるか」という指標である。これが下がると、円で買える輸入品が少なくなる。

日本の交易条件(2010年基準)、日本銀行調べ

 図のように2000年以降、交易条件は1.5から0.86に約40%下がっている。これは石油危機を上回る大幅な悪化である。1円で買える輸入品が4割減り、日本人は貧しくなったのだ。その原因は、大きくわけると次の3つある。

・円安
・輸入物価の上昇
・輸出物価の低下

 「円安になると輸出が増えて景気は回復する」と思う人が多いが、それは実物ベースの輸出/輸入価格が一定の場合の話で、2000年代のように第1次産品の価格が大幅に上がった(例えば原油価格は3倍)場合には、円安でその影響が増幅され、貿易赤字が増えてしまう。

 他方、円安になっても輸出はほとんど増えない。これは外貨建ての価格が下がっても、輸出するものが少ないからだ。日本の製造業は2009年以降の円高局面で生産拠点の海外移転を進めたので、例えば半導体を台湾で生産してアメリカに輸出する場合、ドル/円レートの影響はまったく受けない。

 この状況で、首相が示唆したように消費税の増税を先送…
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