◆梅田恵子(うめだ・けいこ) 1967年3月6日、東京・豊島区生まれ。89年入社し、主に芸能担当。主なスクープは小泉今日子結婚、広末涼子結婚など。社内屈指のテレビおたくでややネクラ。 ドラマ、アニメ、歌謡曲、80年代洋楽などがやや得意。辛口コラムでやや知られ、10年から紙面等で「勝手にドラマ評」を展開。極度の偏食で昼食はおひとりさまです。
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荻野目ちゃん復活、80年代アイドルの底力
[2014年10月21日13時49分]
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- 約20年ぶりのライブを行った荻野目洋子=10月16日
歌手荻野目洋子(45)が、先ごろ約20年ぶりのライブを都内で行った。「ダンシング・ヒーロー」「六本木純情派」など約30曲。当時と同じキーで歌って踊る姿は全盛期と何も変わらず、「客前」「生歌」を当たり前にこなした80年代アイドルの底力が伝わってきた。彼女に限らず、40代後半になった80年代アイドルはここ数年、民放の音楽特番でも引っ張りだこ。今更ながら、その歌手力を再発見させられる。
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伸びのある声と、ユーロビートのサウンド。歌って踊る荻野目洋子のスタイルは45歳になっても健在だった。豊富なヒット曲のほか、洋楽をカバーした新作アルバム「ディア・ポップシンガー」の収録曲など30曲を息切れひとつなくパフォーマンスしてみせた。「生の歌と言葉でみんなとお話ができるライブの空間が大好き。今日は本当に楽しい!」。楽しすぎるのか、歌詞をすっ飛ばして苦笑いする場面もあったけれど、逆に掛け値なしの生歌であることがよく分かり、80年代アイドルの進化ににやけてしまった。
ここ数年、大型音楽特番などでは80年代アイドルが引っ張りだこだ。テレビ局によっては“生歌・生演奏”の原則を打ち出すケースも出てきた中、生放送の経験値が高く、常に生歌で場数を踏んできた80年代アイドルは任せて安心な存在となっている。松本伊代(49)早見優(48)堀ちえみ(47)南野陽子(47)森高千里(45)浅香唯(44)あたりがよく見る顔ぶれだ。
今の主戦場がどこであれ、ひとたび「歌手」としてステージに戻れば、当時のミニスカートを着こなし、色あせない歌声で個性を放つ。「私はこれで勝負する」という軸がブレないのだ。榊原郁恵の「夏のお嬢さん」は今でもピチピチだし、伊代ちゃんがとんでもないミニのコスチュームで「TVの国からキラキラ」を披露した時はかっこよすぎてクラクラした。歌謡界で一時代を築いた人だけが持つ圧倒的なオーラがあって、ステージ負けしない。テレビ局のお得意さま層である中高年視聴者へのアピール力もあり、歌謡祭や特番で貴重な戦力になっているのも納得なのだ。
荻野目も今夏行われた「FNSうたの夏まつり」(フジテレビ)で「ダンシング・ヒーロー」を披露している。今回の20年ぶりのライブで本格再始動した形だ。ルックスもダンスも歌声も年を取って見えないのは、結婚、出産、子育てで完全に表舞台から遠ざかっていたことで「荻野目洋子」というソフトが真空パックのまま保存されていたせいかもしれない。復帰に備え、数年前からボイストレーニングを再開していたというが、45歳で30曲を歌って踊る歌唱センスは並ではない。移動の新幹線ホームからでも歌う「ザ・ベストテン」とか、新曲を出すたびに行う全国キャンペーンとか、80年代アイドルの歌ってきた数と経験のなせるワザなのだと感じた。
もともと、歌への情熱あふれる人だったので、ステージで「楽しい!」を連発する笑顔をほほ笑ましく見た。92年、全5回のインタビュー連載のために彼女を3時間取材したことがある。当時23歳。「40歳になったら」という質問に「売れなくても、場末の酒場でジャズを歌っていられたら、もう最高に幸せ」と答えてくれた。当時、アイドルといえばヒット曲を歌う歌手のことであり、曲が売れなくなれば女優業に活路を求めるケースがほとんどたったけれど、「音楽一筋」の彼女はそれができるタイプではなかったように思う。「1回ステージで歌っちゃったら、その楽しさから抜けられないんですよ。ブァーッと声が出ていくのをのどで感じて、すぐにお客さんのリアクションがある」。客の目線のあるところで歌っていたい人なのだ。
ずっと第一線で歌ってきたタイプの歌手とは比べられないけれど、10~20代で歌に打ち込み、30代で家庭を持ち、40代でまたステージに戻ってきた彼女の歌手人生もまたドラマチック。ライブでは、たまたま私の前列に彼女の3人のお嬢さんが座っていた。全員小学生。初めて見る“マミー”のライブ姿にそりゃもう大騒ぎで、かわいかった。
森高や岸谷香など、子育てが一段落ついてステージに復帰しているケースは多い。同世代から見ても、80年代アイドルの現役感は頼もしいばかりだ。「40歳になったら、売れなくても場末の酒場でジャズを歌っていられたら、もう最高に幸せ」。そう話していたあの時の荻野目ちゃんに伝えてあげたい。あなたは45歳になった今も歌のステージに立ち、スポットライトと家族の声援をダブルで浴びています。
【梅田恵子】(ニッカンスポーツ・コム/芸能記者コラム「梅ちゃんねる」)
[2014年10月21日13時49分]
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