山下知子、柴田菜々子
2014年10月21日17時08分
調理員が鍋をかき回す姿、校内に漂ういい匂い――。給食を各学校でつくる「自校方式」が見直され始めている。地産地消や「食育」を進めやすい利点があるとされ、九州でも複数校分を一括調理して配送する「センター方式」から切り替える動きが出ている。
「いただきます!」
福岡県飯塚市の市立伊岐須(いぎす)小学校で、給食の調理室に併設されたランチルーム(150席)に、児童たちの元気のいい声が響いた。
この日の献立は焼きうどんなど。二つの部屋はガラスで仕切られ、作る側と食べる側が互いに見える。5年生の久保心愛(ここあ)さんは「あの人が作ってくれたんだなって思える」。調理員の40代女性は「食べる表情やおかわりする様子が見えて励みになります」と話した。
施設ができたのは2012年。それまではセンター方式だった。複数校分の調理を担うセンターの老朽化に伴い、市教育委員会は今後について検討。07年に諮問機関が、調理から食べるまでの時間短縮や食育活動の充実を目的に自校方式が望ましいと判断したことを受け、切り替えを決めた。
施設とスタッフが集約できるセンター方式の方が「確実に安上がり」(市教委の担当者)というが、17年度末までに市立小など15校に調理室を設ける計画だ。これまでに11校の施設整備費約37億2千万円を予算化した。合併特例債や国の補助金などでまかなう。
伊岐須小では、食器を返しに来た子が「ごちそうさまでした」と、調理員に声をかけることも多い。古賀陽子・栄養教諭は「こうしたことも食育」と言う。
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