取材記者たちが語るエボラ、「見えない、戦争より脅威」
2014年10月21日 14:13 発信地:パリ/フランス
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【10月21日 AFP】「エボラが流行している国よりも、イラクや中央アフリカ共和国へ行く記者を探す方が難しくない」──そう語るのは、西アフリカのギニアから戻ったばかりの仏国際ラジオ局RFIのクレール・ヘドン(Claire Hedon)氏だ。
世界保健機関(WHO)は、これまでに7か国の計9216人がエボラ出血熱に感染しており、うち4500人以上が死亡したと発表。特にギニア、リベリア、シエラレオネでの感染拡大は過去最悪となっている。
報道関係者の組合などによると、リベリアで3人、シエラレオネで2人の地元記者がエボラ出血熱の犠牲となった。うち1人については、家族4人も死亡しているという。一方、現地入りしている欧米人記者の中でこれまでに感染したのは米テレビ局NBCニュース(NBC News)の委託を受けたフリーランス・カメラマン、アショカ・ムクポ(Ashoka Mukpo)氏(33)のみ。同氏は快方に向かっているとされる。
しかし、現地で取材を続ける記者たちは常に目に見えない敵に脅かされており、すべてのインタビューがリスクをもたらす。「戦場取材に慣れているジャーナリストでさえ、家庭の事情を理由に(エボラ取材を)志願しない者もいる」と仏AFP通信欧州・アフリカ局のソフィア・ ブーデルバラ(Sofia Bouderbala)副編集長は説明する。「これは見えない脅威だ。戦場ならば、落ちてくる砲弾が見える」
米AP通信国際局のジョン・ダニシェフスキー(John Daniszewski)編集長は、エボラ出血熱とは、その姿を見ることができない「非常にストレスのかかる」取材対象だと語っている。
手袋とマスク、ゴム靴と防護服で全身を多い、1日に何十回も消毒液で手を洗うといった感染予防策の他に、記者たちが基本としている取材ルールの一つは「近づかないこと」だ。
リベリアの首都モンロビア(Monrovia)から戻ったばかりのAFP特派員、マルク・バスティアン(Marc Bastian)氏は「何にも触らず、誰にも触れないのが基本。2週間、誰にも触れないのは奇妙なことだ。大量の塩素系漂白剤を渡され、靴にスプレーでかけ、1日40~50回手を洗った。カメラマンは患者を撮影するのに望遠レンズを使い、私は8メートル離れたところから大声でインタビューしたこともあった」
音声を必要とするラジオの記者はさらに取材が難しい。RFIアフリカ局のイブ・ロクル(Yves Rocle)副局長によると、ラジオ取材班はブーム・マイクを使い「接触を避けている」という。ギニア取材を行ったへドン記者は「患者から2メートル離れて取材した。一般的につばが届かないと考えられている距離だ」という。それでも一瞬、気が緩み、致命的なミスを犯してしまうこともあるとへドン氏は認める。「正直、警戒心が解けてしまうときはある。私も何人かと握手をしたことがある」
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