エボラ流行国からの全帰国者 健康状態の報告義務化10月21日 11時58分
エボラ出血熱の感染が西アフリカで拡大していることを受けて、厚生労働省は、ギニア、リベリア、シエラレオネの3か国に滞在したすべての人に対し、帰国した日から3週間、健康状態に変わりがないか毎日、検疫所への報告を義務づけることになりました。
厚生労働省はことし8月以降、日本に到着する国際便の乗客のうち、ギニア、リベリア、シエラレオネ、ナイジェリア、コンゴ民主共和国の5か国に滞在した人が患者などに接触した場合は、検疫法に基づいて発熱などの症状がないか、検疫所への報告を義務づけています。このうち、感染が広がり続けているギニア・リベリア・シエラレオネの3か国に滞在した人については、厚生労働省は、患者などに接触していなくても全員に検疫所への報告を義務づけることを決めました。
報告する期間は、最長の潜伏期間に当たる帰国した日から3週間で、エボラ出血熱の症状の発熱や吐き気、それに出血などがないか1日2回、電話などで検疫所に報告し、症状が出た場合は、直ちに医療機関の受診を求めることにしています。
塩崎厚生労働大臣は「検疫所や保健所、医療機関などで連携して水際での対策を強化したい」と話しています。
専門家「現実的で妥当な策」
感染症対策に詳しい東北大学医学部の押谷仁教授は、「エボラ出血熱は潜伏期間が最大3週間程度と長いので空港の検疫では症状がない感染者を見逃す可能性がある。
一方、感染の疑いがなくなるまでの3週間程度医療機関にとどまってもらうという対応は社会的な影響が大きく、流行が西アフリカにとどまっている現状では理解を得られないだろう。
今回の対応は現実的に取り得る妥当な策だと思う」と話しています。
そのうえで押谷教授は、「国際線のすべての乗客のパスポートの記録を空港の検疫段階で確認するのは難しく、対象者の把握は自己申告に頼らざるをえない。
可能性は小さいが、検疫をすり抜ける感染者が出ることも想定し、感染症専門のベッドがない一般の医療機関も疑わしい患者の場合、渡航歴をきちんと確認するなど対応できるように努めてほしい」と話していました。