「中国で経済危機が起きれば韓国経済への影響は甚大」

 「中国では2年以内にマイナス成長に転じ、深刻な金融危機が発生する」

 英国の権威ある経済週刊誌「エコノミスト」が2011年に「過去10年間で最も影響力がある経済学者」に選んだジョージ・メディソン大のタイラー・コーエン教授(52)は中国経済の没落を予想した。コーエン教授は2011年に世界的な金融危機の原因を究明した著書『大停滞』で「世界の偉大な思想家100人」(フォーリンポリシー誌)に選ばれたほか、ニューヨーク・タイムズのコラムニストとして活動し、経済問題に対する鋭い指摘が定評を受けた。コーエン教授は毎日経済新聞が主催した世界知識フォーラムで講演するため、韓国を訪れた。

■世界大恐慌に似た危機

 コーエン教授は本紙のインタビューに対し、「中国は需要がないにもかかわらず、国内総生産(GDP)の50%以上をインフラなどに投資している。既に飽和状態を超えた深刻な水準だ」とした上で、「腐敗した官僚、巨額の負債、バブル経済で、中国の金融危機は既に始まった」と述べた。

 コーエン教授は中国で金融危機が必ず起きるもう一つの根拠として、「人類史上、どの国も35年以上急激に成長し、危機を経験しなかったことはない。経済成長は失敗の後に新たな革新の突破口を探るところから生まれる」と持論を述べた。

 コーエン教授は今後10年以内に中国が米国を追い越すという一部専門家の予測をでたらめだと切り捨てた。コーエン教授は「既に1930年代の米国に端を発した世界大恐慌に匹敵する危機が中国で始まっており、今の中国の支配構造と経営能力では腐敗問題を解決することはできない。一方、米国はドローン配送(無人機を利用した配送)、無人自動車など物流、交通分野の革新を主導しており、インターネット産業を上回る雇用を創出し、急速な経済成長の原動力になるはずだ」と指摘した。

■追撃に遭う韓国製造業

 コーエン教授は、中国発の経済危機が起きれば、韓国が受ける衝撃は特に大きいと予想。その上で、中国発の危機による影響を最小化するには、韓国経済は中国経済への依存を減らし、遅れたサービス業、低い女性雇用率、低い中小企業の輸出競争力という慢性的な3つの問題を解決すべきだと強調した。

 韓国の新たな成長動力としては、ヘルスケアなど高齢者向けのサービス業を挙げ、サービス業で突破口を見つけられなければ、台湾やマレーシアに5年以内に追い付かれるとの見方を示した。コーエン教授は「最近韓国銀行が政策金利を2.0%に引き下げたが、それは傷にばんそうこうを貼ったレベルにすぎない」と評した。

 コーエン教授は、韓国の遅れた金融産業に対する厳しい忠告も忘れず、「韓国の銀行は厳しすぎる規制のせいで遅れている。『技術金融』のように政府が銀行に高リスクの負債を背負わせる政策は常識的に話にならない。ベンチャー企業はベンチャーキャピタルが自発的に育成するようにすべきだ。私は朴槿恵(パク・クンヘ)大統領が掲げる『創造経済』といった政策が成功する可能性は低いと考えている」と語った。

李信栄(イ・シンヨン)記者
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