◇クライマックス・セ ファイナルS第4戦(東京D) 阪神8−4巨人
巨人−阪神 4連勝でクライマックスシリーズを制し、歓喜の阪神ナイン(北田美和子撮影)=東京ドームで
|
 |
猛虎特急がノンストップで頂上決戦に到達した。セ・リーグのクライマックスシリーズ(CS)は18日、ファイナルシリーズ第4戦が東京ドームであり、レギュラーシーズン2位の阪神が8−4でリーグ覇者の巨人に快勝。初戦から4連勝(巨人にはアドバンテージの1勝)で2005年以来9年ぶりの日本シリーズ切符を手にした。セでレギュラーシーズン2位以下の球団が日本シリーズに出場するのは、07年の中日以来7年ぶり2度目。優勝チームにアドバンテージの1勝が与えられるようになってからでは、リーグ初の快挙となった。
最後の打者・村田を二飛に打ち取って勝利のゲームセット。マウンド付近で歓喜の輪を作る阪神ナインをベンチ前で見つめながら、和田監督の目にはうっすらと光るものが浮かんだ。
「ここにくるまでいろいろなことがあったからなあ。勝負所で勝てなくて歯がゆい思いをしてきたから。きょう勝って少しはファンに恩返しができたかな」。和田監督はつらい日々を振り返りながら、思いを吐露した。
CSファーストステージで広島を下し、ファイナルステージでは1勝のアドバンテージがある巨人相手に4連勝。アドバンテージ導入後、スイープしてクライマックス王者に輝いたのは、プロ野球史上初の快挙だ。
甲子園での広島戦では2試合で1点しか取れなかったが、東京ドームに舞台を移すと、一発攻勢あり、連打あり。この夜は1回にマートンの3ランと福留のソロ、2回には西岡の2ランとたたみかけた。「あの甲子園で打てなかったことが、ここで生かされているような気がする」と同監督は、苦しんだファーストステージの意義を強調した。
しかし、指揮官はCSに入る前に何かしらの手応えを感じ取っていた。それは福留に当たりが戻ってきたことだ。「(福留)コースケがここにきて調子良くなったことは大きいよ」というセリフが幾度となく聞かれた。そしてCSに入って「1番・サード」でスタメン起用した西岡が修羅場をくぐってきた経験は大きい。「(西岡)ツヨシが帰ってきてチームのムードが確かに変わったね。タイムリーも出るようになった」と同監督はメジャー帰りの2人の活躍を勝因として挙げた。
締めくくった呉昇桓はCS6連投。「イニングまたぎや3イニング投げさせたこともあった。最後はスンファンに決めていた」と同監督は新守護神の存在の大きさをたたえた。
レギュラーシーズン勝率2位以下からの日本シリーズ進出は、2007年の中日など過去4度すべて日本一に輝いている。この日の胴上げはなかったものの、レフトスタンドを埋め尽くしたファンに向けて勝利の報告ができた。シーズン途中、解任報道も出た。続投白紙の事態もあった。それらさまざまな苦しい思いもファンの喜ぶ顔を見た同監督は、晴れ晴れとした表情を振りまいていた。 (宮脇渉)
この記事を印刷する