現役最後の試合を終え、両チームの選手から胴上げされる日本ハム・稲葉=ヤフオクドームで
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熱い涙をこらえ切れなかった。ホークス選手も駆け寄り両軍そろっての胴上げ。プロ野球人生最後の試合を終えた日本ハム・稲葉が5度、宙に舞った。
「すべてが終わったなという感じ。負けてしまったけどホークスファンも応援してくれて、ホントにありがたい野球人生を送らせてもらった。悔いはないです」
最終戦にまでもつれ込んだファイナルステージは、大隣に封じ込まれた。代打の切り札・稲葉を使う局面もなかなかつくれなかった。4点ビハインドの9回、先頭で打席に向かうと客席で起こった最後の稲葉ジャンプが目に入った。「三振でもいいから悔いのないスイングをしよう」。3球目、内角高めの151キロを強振したが、捕邪飛に終わった。
止まらない涙を見られたくなくて、ベンチ裏に下がった。そんな稲葉の思いはチームメートに受け継がれた。2死二塁の崖っぷち。大野の打球が内野安打になると、その全力疾走がサファテの悪送球を誘い、意地の1点を奪った。3回には陽岱鋼、5回には西川がダイビングキャッチで窮地を救い、チーム全体が最後まで諦めず必死のプレーを続けた。「全力疾走した20年間をきょうまでやれた」という稲葉の姿勢が、若い選手たちに浸透していた。
「こういう選手には二度と会えないと思う」と、栗山監督はベテランに感謝。最後の戦いを終え「札幌に帰ると約束したのに、ファンの皆さんに申し訳ない」とファンに謝罪した。同時に「チームは確実に前に進んだ。この悔しさを忘れてほしくない。このCSでの前進をムダにしないよう、選手たちにはあとで怒っておきます」と、稲葉イズムを継承した若手選手たちに来季の巻き返しを託した。 (竹村和佳子)
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