核兵器不使用訴える声明 日本再び参加10月21日 8時49分
非人道的な結果をもたらす核兵器は、いかなる状況でも使用すべきではないと訴える共同声明が国連総会の委員会で発表され、日本も去年に続いて参加しました。
国連総会の軍縮問題を扱う第1委員会では20日、ニュージーランドが提案した核兵器の不使用を訴える共同声明が発表されました。
こうした声明が発表されるのは5回目で、今回はこれまでで最も多い、日本も含む155か国が参加しました。
声明を読み上げたニュージーランドのヒギー軍縮大使は、「核兵器がもたらす非人道的な結果は、国際社会全体の懸念だ。いかなる状況でも核兵器を2度と使わないことが人類の生存の利益につながる」と訴えました。
核兵器の不使用を訴える声明を巡っては、アメリカや中国などの核兵器を保有する国々は参加しておらず、日本も当初、アメリカのいわゆる「核の傘」に頼る安全保障上の理由から、参加を見送ってきました。
しかし去年、声明の内容が日本の安全保障政策や核軍縮の取り組みと整合性がとれるよう修正されたとして、初めて参加しました。
委員会で発言した佐野利男軍縮大使は、「日本は、みずからの被爆体験を基に、核兵器の使用がもたらす悲劇を広く伝えていく使命がある」と声明を支持する姿勢を示すとともに、「日本を取り巻く厳しい状況から、日米の安全保障上の協力関係は維持していく」とも述べ、アメリカとの関係に配慮もみせました。
「核なき世界実現を主導」
岸田外務大臣は、閣議のあと記者団に対し「共同声明は、核兵器のない世界に向けた各国の強い政治的意思を示すもので、日本の安全保障政策や核軍縮に向けたアプローチとも整合的な内容だ。
日本は、唯一の戦争被爆国として、核兵器のない世界の実現に向けて引き続き国際社会の現実的かつ実践的な取り組みを主導していきたい」と述べました。