私は自分の人生を挫折ばかりだと思っていて,自分の人生って何て不幸なんだと思っていました。いつもうまくいかない,周りはいつもうまくいくのに…。そして小学校時代にはいじめにあったこともあり,対人関係ではいつも悩んでいました。それは今も変わりませんが,今は学校という閉鎖的な空間ではないので,いつでも逃げられるという心の余裕があります。もちろんこうした悩みは他人から見たらたいしたものではないかもしれません。しかし「悩み」というのは個々によって捉え方が違うので,比較そのものができないでしょう。
挫折続きで自分の人生を呪った10代,20代 - いつか朝日が昇るまで
一方,妻はシングルマザーの家庭に育っていたのですが,実際の父親とも交流があり,「お前はバカだ」と言われ続けて育ち,精神的なDVを受けてきました。だから妻は大学は自分の存在とは何かを考えるべく哲学科に進んだのです。そしてそうした家庭環境が影響したのかうつ病が発症し,突然全く動けなくなってしまいました。それでも何とか大学は卒業し,現在に至っています。
そんな二人が結婚して,私は妻の支えになろうと日々過ごしてきました。もしかしたら妻の支えになることで自分が必要とされていることが実感でき,それで自分の存在意義を見出そうとしていたのかもしれません。二人でいるとこれからも生きられる気がしました。
そんな二人は当初,子どもを持たないと考えていました。なぜなら自分たちに自信が持てないから。またしっかりと子育てをする自信が持てなかったから。それでも二人でなら子供を育てられるかも,このまま子供を持たなかったら後悔するかもしれないと思い,子供を持とうと決意。今では二人の子供を持つことになりました。
男なのに妻の妊婦生活の終わりに泣きそうになった話 - いつか朝日が昇るまで
そして妻は多くのママ友に出会いました。そこで聞く話は自分たちだけが不幸ではないと思わせるものばかりでした。母親から「あなたは本当にダメな子」と言われ続け,「絶対にこの家を出てやる」と勉強を頑張った人,小学校の時にお兄さんを事故で亡くした人,お姉さんがアル中で入退院を繰り返している人など様々な不幸を背負いながらも自分の人生を生きている人たち。
そういう人たちと出会い,「自分だけが不幸ではないんだ」と実感でき,また,そういう人たちとこれから一緒に育児をしていくことで,これからの悩みを共有できるという安心感は,妻の今までの人生にはなかったものでしょう。
自分の人生に何らかのトラウマを抱えていると育児に関して何か問題があった時に,そのトラウマが関係しているのではないかと思ってしまうことが多々あります。正直なところ,私は親とあまり遊んだことがないので,子どもとどう遊んでいいのか分からない,どう愛情を向けたらいいのか悩んだこともありました。でも,完璧な親なんていないんだし,自分ができることをやっていくしかないと思って日々過ごしています。最近ではそういうことを考える暇すら与えてもらえません(笑)。
育児に関していろいろ言い合える関係。時には励まし合い,時には注意し合いっていく育児。いつしか自分たちだけが不幸だなんてお互い考えなくなりました。世の中にはいろいろな人がいて,自分たちだけが不幸な訳ではないというのは頭では分かっていても,実際にそういう人たちと付き合っていかなければ実感できません。私も妻も子育てを通してそうしたことを学んでいると思います。子育ては子供と共に親も成長させると言われたことがあります。本当にその通りだと思います。
最後にもし育児に悩んでいる人がいたら思い切って外に出て助けを求めてください。声は必ず誰かに届くと思います。世の中は冷たいようで温かい。気温は寒くなってきましたが,そんな温かみを感じる日々を私達は送らせてもらってもいます。そして死ぬ間際に「幸せだったね」と言える人生を送れたらいいなと思います。次男はまだ昼夜逆転で大変な訳ですけれども,今はおちょぼ口で眠っています(笑)。今日も夜は長いですね…。