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<松島氏辞任>「うちわ」は公選法違反の「有価物」かどうか

毎日新聞 10月21日(火)7時0分配信

 政治資金収支報告書への記載やカネの使途を巡る疑惑が噴き出した小渕優子氏と、選挙区内で「うちわ」を配り、法相でありながら刑事告発された松島みどり氏。2人の何が問題で、どんな法律に触れる可能性があるのか。「ダブル辞任」の記者会見での主張を踏まえてそれぞれ整理した。

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 ◇東京地検特捜部が公職選挙法違反容疑の告発状を受理

 松島氏は辞任の記者会見でも、「うちわ」問題について「法に触れることはしていない」と繰り返した。一方、東京地検特捜部は20日までに、民主党側から出されていた公職選挙法違反容疑の告発状を受理した。特捜部は今後、配られたものが「有価物」に当たるかどうかや、配った「主体」について、関係者からの事情聴取を通して経緯を解明するとみられる。

 公選法は、政治家や政党支部が選挙区内で有権者に寄付する行為を禁じている。何が寄付に当たるかの分かれ目となるのが、「有価物」かどうかだ。「確かに形の上でうちわかと言われれば、うちわの形はしていると思う」。松島氏は会見でこう認める一方、「財産上の有価物かというと、うちわは一般に、イベントで配って、そのまま捨てられる類いのもの。問題になる寄付行為だとは思っていない」と反論した。

 松島氏が問題発覚後に衆院法務委に示した文書によると、「うちわ」は今年までの3年間で計2万1980本作られた。印刷代など総経費は約178万円で、単価は36〜135円だったという。捜査では、これが「有価物」に当たるかを精査する作業が必要となる。

 「うちわ」が寄付に当たるとの法解釈もあり、自治体は注意を促している。例えば、埼玉県の「寄付禁止Q&A」は、「政治家が自分の名前の入っているうちわやカレンダーを選挙区内の人(親族を除く)に贈ることができますか」との問いに対し「寄付の禁止に該当し、できません」と明記している。公選法に詳しい三好規正・山梨学院大法科大学院教授(行政法)は「安価に買えるものであっても、物品を無償で与える行為は寄付に当たる。松島氏がうちわを配ったとすれば、公選法に抵触する恐れがある」と指摘する。

 ◇配布「主体」はどこか 「うちわ」に討議資料と小さく記載

 もう一つのポイントが、配布の「主体」だ。仮に松島氏が自費で作り配った場合、50万円以下の罰金を科される可能性がある。一方、政党支部が作って配った場合、それだけでは罰則が適用されず、配布が選挙目的だとの立証が必要だ。

 今年夏に配られたものとして今国会審議で示された「うちわ」には、「経済産業副大臣・衆議院議員 松島みどり」などと書かれ、隅に自民党の政党支部名と、討議資料であることが小さく記されていた。この3年で松島氏が立候補した選挙は、唐突な解散で実施された2012年12月の衆院選のみだ。選挙に関する配布であったかの立証は簡単ではなく、松島氏立件へのハードルは高い。【吉住遊、山下俊輔】

最終更新:10月21日(火)9時53分

毎日新聞

 

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