長距離バスでパリから南仏のペルピニャンに行くには、隣国スペインのバルセロナ行きに乗らなくてはならない。だが、国内乗客向けの座席が満席の場合には、空席があっても厳密には乗ることはできない。
フランスの商業道路輸送の規制はこんな具合だ。同国では鉄道システムを保護する名残から、長距離バスの運行が事実上禁じられている。
フランスのマクロン経済相が先週表明した規制緩和策で、これは改正されることになった。欧州各国や国際経済機関はかねてフランスに構造改革を迫ってきたが、オランド政権はようやく重い腰を上げた。30代のマクロン氏が改革を主導する。
改革の必要性がかつてないほど高まっているのは、欧州第2の経済大国の成長率が低迷しているからだけではない。欧州委員会や特にドイツのメルケル首相に財政赤字の目標の達成期限を再び延長するよう認めてもらうには、説得力ある改革策が不可欠だからだ。
フランスは財政赤字を国内総生産(GDP)の3%以内に抑えるという欧州連合(EU)の財政協定の達成期限を2017年に先送りする。政府筋は欧州委やドイツ政府との深刻な対立は避けられるとの自信を示し、ある官僚は「そんなことをしても政治的に誰の得にもならない」と話す。
オランド氏は1月に改革を加速するための手を打ったものの、これまでの速度は遅く説得力に欠ける。
■成長率高まる試算
では、改革の見通しはどうだろうか。改革の柱はいわゆる「責任協定」で、競争力を回復するために17年までに400億ユーロ相当の法人減税を実施する。これは12年に始まり、年間200億ユーロ相当を税控除することになっている。だが政府統計によると、今年はこれまでの税控除額がわずか80億ユーロにとどまっている。
地方当局の数を削減する計画や、ビジネスでの煩雑な手続きを簡素化する一連の施策も進められており、採用や解雇の一部プロセスも柔軟になった。
経済協力開発機構(OECD)は先週、こうした一連の改革はフランスのGDPを今後5年間で1.6%、10年間で3.7%押し上げるとの研究結果を発表し、オランド氏を励ました。14年の予想成長率が0.4%、15年が1%にとどまるフランス経済にとっては小さくない数字だ。
長距離バスでパリから南仏のペルピニャンに行くには、隣国スペインのバルセロナ行きに乗らなくてはならない。だが、国内乗客向けの座席が満席の場合には、厳密には空席があっても乗ることはできない。…続き (10/20)
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