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 「観劇会」と「うちわ」で窮地に陥った小渕優子経済産業相と松島みどり法相に対し、安倍晋三首相が選んだのは異例のダブル辞任だった。政権の危機を一気に収束させる狙いだが、「女性活躍」の看板は大きく傷つき、野党は次の標的を求めて手ぐすねを引く。消費税率再引き上げや原発再稼働の判断といった難題を前に、政権の「体力」に影響が出かねない。

 安倍首相には、迷いがなかったかのようなダブル辞任劇だった。

 20日午前8時20分、首相はまず首相官邸で小渕氏と面会。小渕氏が「安倍内閣に貢献できず、申し訳ありませんでした」と頭を下げつつ提出した辞表を、首相は慰留することなく受け取った。

 それから約5時間後、官邸に姿を見せた松島氏が「せっかく抜擢(ばってき)していただいたのに、申し訳ない。辞職したい」と申し出ると、首相は「心機一転、これからもいろんな場面で能力を発揮してほしい」と語り、淡々と辞表を受理した。

 その後、首相は記者団の前に立ち、「2人の意思を尊重して辞表を受理した。政治において、行政において、難問が山積している。政治の遅滞は許されない」と述べ、早期決着させたことを強調した。

 表向き、2人とも自らの意思で辞任した形だが、とりわけ松島氏については早期の幕引きを図った首相の意向が大きく影響した。