精米機大手サタケ(広島県東広島市)の研究開発テーマが広がっている。自社の機械で加工する米の基礎研究にまでこだわる多彩な研究は常時300以上が進行している。精米機に使うモーターの内製化技術が新幹線のブレーキ用コンプレッサーに採用されたり、大規模マンションなどの非常用電源に使われたりもした。一見ムダに見える研究もアフターサービスの充実や本業と違う新製品の発売につながる競争力の源になる。
■「最後はサタケさん」という信頼
「精米すると米が割れてしまう。精米機に不具合があるんじゃないか」。サタケが精米機を納入した精米所からある日、問い合わせが入った。営業担当者らは現場に駆けつけ、精米機を確認した。特に問題はないようだ。精米する前の米を本社に持ち帰り調べたところ、精米の前工程にあたる乾燥に問題があったことが分かった。早速、顧客に改善策を提案したという。「最後はサタケさんだね」。その一言が担当者の士気を高めた。
「田んぼから茶わんまで」。サタケの研究対象は米をDNA検査する装置を使った米そのものの分析だけにとどまらない。田んぼで稲を育てる過程にはじまり、おいしく米を炊くにはどうすればよいか、炊き方によって成分はどう変わるのかといった領域にまで及ぶ。主力商品である精米機や選別機とは関係性が薄そうだが、技術本部の副本部長を務める古屋慎一郎執行役員は「加工する相手を知らずしていい機械は作れない」と話す。
売上高500億円程度のサタケが研究開発を重視するのは「ないものを作る」という創業精神に基づいている。創業者である佐竹利市氏が日本で初めて動力式精米機を開発したのは1896年にさかのぼる。その後、改良を重ねながら精米歩合を40%以下までにする精米機を開発した。この技術は精米歩合が50%以下の吟醸酒が1930年代に誕生したのを陰で支えたのだ。
古屋慎一郎、サタケ
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