「ヘイトスピーチ」(憎悪表現)と呼ばれる人種差別的な街宣活動への対策を検討する意向を示している橋下徹大阪市長は20日、「在日特権を許さない市民の会(在特会)」の桜井誠会長と市役所で対面したが、橋下氏の姿勢に反発する桜井氏との間で互いを罵倒するのに終始し、面談は10分足らずで終了した。
面談は大勢の報道陣の前で行われ、両氏が約3メートルの距離を置いて向かい合った。冒頭からお互い、「おまえ」や「下劣な発言をやめろ」など命令口調の発言が飛び交い、予定されていた30分より短く終わった。両氏が立ち上がり、つかみ合いになりそうな場面も見られたが、警戒していた関係者が間に入った。
橋下氏は「民族や国籍をひとくくりにして評価するような発言はやめろ。おまえみたいな差別主義者は大阪にはいらない」などと発言。最後は「終わりにしましょうか」と面談を切り上げた。
橋下氏は7月に市としてのヘイトスピーチ対策を検討する意向を示し、9月、市がとるべき方策を市人権施策推進審議会に諮問。在特会側と面談し、「大阪で差別表現することは許さないことを伝える」と話していた。面談は在特会側の申し入れで実現した。
在特会などを相手取って訴訟を起こした在日コリアンのジャーナリスト李信恵さんは面談を傍聴し「出来レースを恐れたが、ひどい言葉が飛び交う結果で、『どっちもどっち』と伝わることも怖い。在特会は今も街宣活動を繰り返している。市長はもっと自分の足を使ってひどい現場を見てほしい」と感想を述べた。(共同)