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かっぱ寿司が迷走、どうなる「3度目の身売り」

東洋経済オンライン 2014/10/20 05:20 又吉 龍吾,松浦 大

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業績不振に陥るたびに身売り話が浮上する「かっぱ寿司」。行き着く先はどこになるのか

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 100円回転ずし大手、「かっぱ寿司」を展開するカッパ・クリエイトホールディングスに買収話が浮上した。居酒屋「甘太郎」などを運営するコロワイドが同社を傘下に収めるというものだ。

 コロワイドは「現在調査中」、カッパも「資本提携を模索している」とのコメントを発表しており、買収計画を明確に否定していない。これに泡を食ったのが、カッパとの経営統合を進めてきた元気寿司だ。「本件に関して検討している事実はない」と真っ向から否定している。

■ 元気との統合交渉が進行中

 カッパと元気は2013年11月、両社の筆頭株主であるコメ卸最大手、神明ホールディングの舵取りで、将来的な統合を視野に業務提携を締結。これまでに仕入れ集約やメニューの共同開発を進めてきた。

 5月の決算説明会で、元気の法師人(ほうしと)尚史社長は「統合に向けてはカッパの既存店の回復が最も重要。2014年度の動向を見極め、統合の判断をしていく」と見込んでいた。

 それからわずか5カ月で浮上した別の買収相手。袖にされた元気側は「統合に向けた動きは現場で続いている。止めろという指示も来ていない」と困惑顔である。

 カッパの経営権をめぐるゴタゴタは、この10年で3度目となる。その背後に見え隠れするのは、同社の創業家である徳山一族の存在だ。

 競争激化によりカッパは既存店が不振に陥り、2005年度に16億円の最終赤字に転落。創業家は「もはや社内の連中には任せていられない」(当時を知るカッパ関係者)と提携先を模索し、2007年3月に徳山家の資産管理会社が保有する全株をゼンショーホールディングスに売却した。

 ゼンショーは当時、あきんどスシローの株式も取得し、2社の統合により回転ずし業界のトップに立つ野望を持っていた。だが、現場の衝突が激化し、統合計画は停滞。結局、カッパの創業家が株を買い戻すことになり、ゼンショーの夢は1年でついえた。

■ 前年度は再び大赤字に

 その後、100円ずしブームの追い風を受け、カッパの業績は2009年度に21億円の最終黒字にまで回復した。が、競合他社の出店攻勢を受け、東日本大震災後は再び苦境に陥る。2013年度は不採算店の大量閉鎖に伴い、71億円の最終赤字に転落した。

 そうした中で浮上したのが、元気寿司の筆頭株主で卸側からすし再編の絵を描いた神明との提携だ。昨年4月には徳山一族が保有するカッパ株を神明に売却。同年11月には神明がカッパ株を買い増し、元気との経営統合を前提にした再編案をブチ上げた。

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