巨人の負け方はある意味で異様だった。まるで柔らかいものを包丁で切るように阪神が易々と得点する一方で、巨人は大した陣容でない阪神投手陣を打ち崩せなかった。
今年のセリーグのペナントレースを毎年やっているマトリックスで表す。実線はリーグ平均。

CL-Pennant02


巨人はチーム防御率こそリーグ1位だったが、リーグ打率は5位。
マトリックスにすると、その戦力は、4位の中日、5位のDeNAとほとんど変わらないポジションにあることが分かる。

伸び盛りの広島、そして外国人が活躍した阪神は、防御率こそ悪かったが、打撃力で巨人を大きく上回っていたことが分かる。
そして今年のヤクルトが、いかにバランスの悪いチームだったかもわかる。

こんな戦力で、今年の巨人はよく優勝することができたものである。
ピタゴラス勝率で見た今年のセリーグ

pitagora


得失点差から見れば、今年は巨人と広島がデッドヒート、ヤクルトが3位。日本シリーズに進出した阪神は、クライマックスシリーズにさえ出ることができなかったということになる。

実際のペナントレースは、巨人の圧勝に終わったが、それは実力ではなくて、運が良かったか、あるいは原辰徳采配が素晴らしかったか、いずれかだったのだ。
阪神はそれ以上。得失点差でマイナスにもかかわらず2位のポジションを得た。
あるいは、広島の運の悪さ、采配のまずさに助けられたと言っても良いかもしれない。

少なくとも、今年の巨人は「大して強くないチームだった」ということは言えるだろう。

ペナントレースが終了して9日間、巨人は試合が無かった。その間にペナントレースの勢いがなくなった。
シーズン終盤に駆け込みで2位になり、クライマックスシリーズで厳しい試合を勝ち抜いた阪神とはコンディションにおいて大きな差があった。
ペナントレースが終了してから、阪神は実力以上のパフォーマンスを出し始めた。福留、西岡という“隠し玉”が機能し出したのも大きい。巨人は対照的に実際の戦力そのままのチームになったのだろう。

今年の巨人の結果は、今のチーム作りの限界を露呈したと言って良いと思う。以下次稿。


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