言われてみると、少子化とは問題として微妙なんだ。
そもそも論として、食料や石油などの物的資源も不足して・仕事に就けない人が世の中にあふれている。にもかかわらず、「労働力が足りない」とか言われる。
待て待て!今現在だって社会全般で国民/労働者が養えてないじゃないか!
傾向として、人力よりも科学技術へと労働力が移行しているじゃないか!
もっとミクロに個人の立場から言っても、子どもを作る環境にないし、よしんば作れてもその子が幸せにやっていける明るい未来が見える現状でもないじゃないか!
そうやって考えていくと、「少子化問題」と言われるが、国の都合だなぁ…と言わざるをえず、その国でさえ少子化することで問題が解決すること(人口が多くて問題になっていたことを考えなくて良くなる側面)もある。
「人がたくさんいることが国力だ」と言う考えは経済・軍事どちらの側面で考えても今や古臭く、人がいることよりも技術やお金を効率よく運用できるかどうか…が明暗を握る時代だ。
子どもの数/人口がへろうが、少子化を補填する制度・社会へと移行して行けばいいだけではないか?
…そんな事を考えながら、この動画を見てた。
というわけで、今日は少子化問題について語っていく。
ニュースは優先度の濃淡を見抜くように見るべし
子どもが減った結果どうなるかを考えていった時に何かしら「問題」が起こるだけで、本来はその「問題」だけを論じるべきだ。
少子化が原因で発生する最も大きな問題はなんだろう?考えられそうな仮説をいくつか出してみよう。
労働者・サービスが減る?…いやいや、今も失業率が高く競争が激しすぎて大変じゃないか!少し減るぐらいの方が健全は健全じゃない?
消費者が減る?…高齢者だって消費者足りえるし、海外からの投資を招き入れたり、一人一人がお金を使うようにしたらいい。
税収が減る…けっこう近いかも。でも、これも労働者一人一人の生産力を上げるか、お金持ちに、それも海外に逃亡しようがないお金持ちに課税したらいい。貿易への関税、企業への課税だって国内の少子化・人口減に左右されず実行できるそうだね。
ところで、「海外に逃亡しようがないお金持ち」って、ほとんどは高齢者今さら語学が学べないし、近い将来医療を受けないと生きていけない高齢者だね…。
となると、これかな?
集められる年金保険料が減る…累進制ではなく、金持ちでも貧乏でも同じ金額を払う/天引きされる年金は若者の数、特に正社員の「数」が減れば、維持することができなくなる。
なるほど!若い労働者が減ることで「年金制度が維持できなくなる」ことを心配してるのか。少子化問題は極限まで単純化して行くと「高齢者を誰が養うんだ!」と言う話になるっぽいね。
でもでも、年金に限らず「若い現役世代が高齢者を養う」と言うのが本当にまっとうな形?そりゃ、「日本は儒教の国だ」「育ててもらった恩を忘れたか」という精神論も飛び交うと思うけど、今の若者はものすごく貧乏で病んでる人も多いんだよ?
べき論としては親不孝かもしれないが、現実問題として「高齢者を養う」力が若者にも、この国全体の国力にも残ってるか?
そういえば、ちきりんさんがこんなこと書いてたっけ?
このグラフを見てください。総額1600兆円にも及ぶこの国の富は、高齢者が独占してるんです。しかもここに含まれてるのは金融資産だけです。これに不動産を足し、住宅ローンを差し引けば、実質的な資産は、このグラフ以上に高齢者に偏在しています。
<世帯主年齢別・金融資産の分布>
「かわいそうなお年寄り」を支援すべきは、「お金持ちの高齢者」なんじゃないんでしょうか? てか、「かわいそうな若者」だって、このお金持ちの高齢者のお金で支援すべきでは?
知識自体は経済学部出たやつで授業中に寝てなかったやつならだれだって知ってる基礎知識だ!「かわいそう高齢者」は「お金持ちの高齢者」が支援したらいい。
でも、どうしてそうならない?まさか僕でも知ってる経済の基礎知識を国家公務員の難しい試験を突破した官僚の皆さんが知らないとは思えないし、政治家だってその程度のことは大学で、あるいはそれ以外の場所で勉強してるはずだ。
制度そのものにテコ入れするアイデアだってないわけじゃない。
例えば、生活保護のように年金の受給に所得ではなく資産に制限をつけてしまうとか、年金という別枠ではなくお金持ちが優先して払う税金にするとか…そうする手段だってできないことではないだろう。
そもそも、年金保険料として集めた資金を運用失敗したり、グリンピアなどの赤字施設にした前科が厚労省にあるんだから…と言う話は何十年も前から出てる。
でも、なんで未だに年金は年金のまま、信用できない機関が運用し、お金のない現役世代がお金のある引退世代を養ってるんだろう?
少子化すること自体よりもこの「年金や高齢者を守らないといけない」という構造のほうが根深くて、大きな問題なんじゃないのか?
少子化が問題になる最大の理由はシルバー民主主義!
最近、こんなつぶやきが反響を呼んだ。
最近、社会・政治系の問題の根源は全部「シルバー民主主義」にあるんじゃないかと思ってるのよね…。つまり、老い先短いくせに人数が多くて、一番金が足りてる高齢者世代が声が大きく、票も持ってるから「彼らに有利な社会を維持しないといけない」という束縛が諸問題の根源のように見受けられるよね
— 三沢文也 (@tm2501) 2014, 10月 16
団塊の世代と、今の20歳では人口が2倍近く差が開いてる。これを養ったり、お世話することも大変なのだが、それ以上に問題なのは「選挙をしたら高齢者に有利な政策ばかり言う人が当選してしまう」ということ。若者がみんな選挙に行っても高齢者の方が人数が多いのだから、同じ投票率では高齢者の意見が通ってしまう!
そのため、政治家は自分や政党の議席を確保するために、高齢者優遇の政策ばかりを言う。マニュフェストを守らないで若者優遇をすることもできるが、そんな裏切りをしたら政治生命が危ぶまれるので、決してしない。
年金も、医療保険も高齢者に負担をお願いするようなことをすれば、その瞬間に新聞・テレビから煽られて政治家は落選してしまう。
資金も票も高齢者が持ってますからね…政治もメディアもますます高齢者有利な政策を維持するばかりで、若者も助けないし、負担してくれる若者がいなくなる少子化を「問題だ」と叫ぶ。
少子化の最大の問題はこうした「技術や知識で効率運用できない1人1票、みんなが同額に負担するもの」にこそある。僕は法律に詳しくないから世代間で「一票の格差があるのは違憲だ」とか言っていいか知らないが、地域格差なんかよりもずっと世代間の票の格差の方が問題だよ。
少子化に限らず、今「人手不足」と呼ばれる問題がよく言われるけど、アレだって掘り下げていくと経営システムや経営者の人徳・戦略、投資家と企業の関係など問題は別のところにあって、若い人が働かないことでも、ブラック企業に努めないことでもないよ…
そこら辺の濃淡を見分けられないと、本当に時事ネタに騙されそうで怖いです
今回は、ちきりんさんのブログを引用させてもらったからちきりんさんの本を。
…ただ、彼女の記事って目線は面白いけど、自分の頭で「なにか足りないなぁ」と補完しないといけないので、ある程度勉強してる人向け。
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