島根原発:事故対応訓練 「防護服着てない」苦言も
毎日新聞 2014年10月19日 17時45分(最終更新 10月19日 17時52分)
中国電力島根原発(松江市鹿島町片句)で重大事故が発生したことを想定した対応訓練が18日にあった。島根、鳥取両県や原発30キロ圏6市の行政関係者や住民らが参加。島根県内では、計約3200人が初動対応や30キロ圏外へバスで実際に避難する訓練に臨んだ。
訓練は、島根原発2号機の外部電源喪失をきっかけに冷却機能が失われ、原子炉格納容器から外部に大量の放射性物質が放出された−−という想定。島根県庁では、午前7時に中国電から事故発生の第一報が電話で入り訓練が始まった。
電話連絡を受けた県防災部では、大国羊一部長ら幹部が集まり事故の状況を確認した。県庁そばの県原子力防災センターではオフサイトセンターの設置作業が始まり、建物内部の気圧を高め、放射性物質が入るのを防ぐ装置が起動。駆けつけた溝口善兵衛知事も、放射性物質による汚染の有無を調べるスクリーニングを受けた。
原発から8〜9キロの距離にある松江市城西地区では、住民ら計64人が市立第一中学と同内中原小にそれぞれ集まりバスに乗車。同地区の避難先に指定されている江津市に向かった。住民らは途中、原発から約33キロの地点にある宍道湖西部浄化センターでスクリーニングを受けた。
訓練に参加した城西地区町内連合会長の三島健治さん(77)は「万が一の避難で、どのようなことをするのかを確認しておくことは大切」と話した。一方、訓練の様子を確認していた「島根原発増設反対運動」代表の芦原康江市議は「高濃度の放射性物質が広範囲に拡散しているという想定なのに、避難の受け付けを屋外でやり、住民は防護服も着ていない。実際的な訓練になっていない」と苦言を呈した。【曽根田和久】