統一地方選:集団的自衛権容認「地方から争点化」の動き

毎日新聞 2014年10月06日 07時30分

 来春の統一地方選で、安倍晋三政権が閣議決定した集団的自衛権行使容認を争点化しようという動きが出てきた。外交や安全保障は国の専権事項といわれるが、革新系の地方議員らは「自民1強の中央政治は期待できず、地方から反対の声を上げよう」と意気込む。対する自民党は、有権者に行使容認を理解してもらうための理論武装を始めた県連もある。しかし、公明党は議論の再燃を警戒しており、自公の足並みはそろっていない。

 「集団的自衛権を行使すれば、海外の戦争に巻き込まれる可能性が高まる。行使容認問題を統一地方選の争点にしていこう」。9月27日、福岡県筑紫野市の市生涯学習センターの一室。県内各地から集まった革新系無所属の地方議員ら7人が「自治体議員立憲ネットワーク福岡」を発足させた。

 社民党大分県連も11月16日、大分市内で反対集会を開く予定だ。安部逸郎副幹事長は「統一地方選は自民政権に物申す機会だ。行使容認の危険性を分かりやすく説明すれば有権者は応えてくれる」と語る。集団的自衛権の行使には国民に慎重な意見が根強いことから、低迷が続く護憲派政党にとって統一地方選で争点化し、存在感を示したいとの思いもある。

 これに対し、政権を支える自民党は強気だ。熊本県議会は定数49のうち自民が32議席を占め、国会と同じく自民の1強状態。熊本県連の山本秀久会長は「選挙に有利だろうと不利だろうと、国民を守るための論議を避けるつもりはない」と語る。論戦に備えて9月に研修会を開いた鹿児島県連は、行使容認によって抑止力が高まり、逆に戦争を防ぐことにつながるとの認識を確認し合った。

 革新系と自民との対決構図ができつつある中、公明党は対応に苦慮している。6月に解釈改憲反対の意見書を全会一致で可決した佐賀県大町町議会。公明の中山雄次郎町議は「党に迷惑がかかる可能性があるのでコメントを控える」と真意を語らない。熊本県内の公明関係者は「支持者もようやく閣議決定に納得してきてくれている。統一地方選の時期に関連法案を審議してほしくないのは確かだ」と本音を漏らす。

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