小渕氏観劇会:支援者「年1度の楽しみ」 地区で会費集金

毎日新聞 2014年10月19日 07時00分

報道陣の質問に答える小渕優子経産相(中央)=経産省で2014年10月18日午後2時35分、長谷川直亮撮影
報道陣の質問に答える小渕優子経産相(中央)=経産省で2014年10月18日午後2時35分、長谷川直亮撮影

 自らの政治団体での不明朗な会計処理を巡り、辞任は不可避との見方が強まった小渕優子経済産業相は18日、「今はしっかり調査すること」と報道陣に話した。収支の食い違いが指摘され、疑惑の渦中にある後援会主催の「観劇会」とはどのようなものだったのか。参加した女性らが証言した。

 「観劇会は大勢の人が集まる華やかな場所。年に1度の楽しみにしている支援者も多かった」。今月8日、東京・明治座で開かれた小渕氏の観劇会に出席した群馬県渋川市の女性(72)はそう話す。

 小渕優子後援会の複数の女性によると、観劇会の準備は夏ごろ始まり、各地区の支持者らに案内チラシを配って希望者を募り、会費を集める。この女性が担当する地区には今年10人の希望者がおり、全員から1万2000円ずつ受け取って小渕事務所の人に渡したという。会費は毎回1万2000円だったといい、地元の秘書に渡したケースもあった。

 ある地区は今年、当日午前6時半に集合した。群馬県内各地から大型バスが26台用意されていたといい、車内ではお茶菓子とペットボトル入りのお茶が配られた。劇場に到着すると、1、2階はほぼ満席だったという。座席表では1、2階席で約1200席になるため、約1000人は劇場にいたとみられる。公平にするため席は事前にくじ引きで決め、地区ごとに着席した。

今月8日に行われた小渕優子後援会の観劇会のスケジュール表。バスは1〜26号車まで用意されている=町田徳丈撮影
今月8日に行われた小渕優子後援会の観劇会のスケジュール表。バスは1〜26号車まで用意されている=町田徳丈撮影

 観劇会は後援会の女性大会として開かれ、会場に着くと後援会幹部らのあいさつから始まる。小渕氏は今年、閣僚就任から間もなかったため欠席したが、子供を連れて登壇した年もあり、その時は「普段お世話になっております。朝早くからご苦労様です」などとあいさつしたという。

 参加者は劇場内で弁当の昼食をとり、今年は正午から休憩などを挟んで午後3時半まで天童よしみさんの劇と歌謡ショーがあった。その後は真っすぐ群馬へ戻り、午後6時ごろに解散となった。

 以前は9月に開催し、帰りに巣鴨や浅草に寄る1時間ほどの自由時間があり、買い物などを楽しんだこともあったという。

 女性は「必要な会費は全額きちんと支払っている。なぜ疑惑を持たれるような収支報告になっているのか見当もつかない」と困惑した表情を浮かべた。

 ほかの70代の女性部地区役員は「小渕さんはこれまで持ち上げられ過ぎていて、どこかに気の緩みがあったのではないか。この際きっぱりと閣僚を辞め、若いのだから出直した方がいい」と話した。【角田直哉、町田徳丈】

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