2010年に誕生してから、8000種類を超す商品に使われ、今なお利用申請が増え続けている熊本県の人気PRキャラクター、くまモン。いわゆる「ゆるキャラ」だが、熊本県がくまモンで展開してきたデザイン戦略は、けっしてゆるくない。キャラクターで稼ぐための綿密なプランが次々と練られ、実践されてきた。
昨年(2012年)販売されたくまモン関連商品の売り上げは、県が把握しているだけで239億円。この数字は県が実施した販売調査に回答した企業のみの実績である。回答率はライセンスした企業全体のおよそ半数程度だから、実際のくまモン市場はこれよりはるかに大きいと考えられる。
くまモンを活用した商品の種類は多種多様だ。ストラップやぬいぐるみといったキャラクターグッズから、くまモンをかたどった伝統工芸品、そして地場の食品パッケージに、野菜に付けるシールまで。野菜の販売1つとっても「地方物産展で他県産の同じ野菜といっしょに並んでいたとき、お客様がまず手に取ってくれるのが、くまモンのシールが付いた熊本県産野菜になった」(熊本県商工観光労働部 観光経済交流局くまもとブランド推進課の成尾雅貴・課長)と、確かな効果が出ている。
勢いは止まらない。熊本県内の3つのホテルはくまモンをインテリアにあしらった専用客室を用意し、格安航空会社のソラシドエアは、くまモンのイラストを大きく描いた飛行機を就航。さらには熊本県産の原材料を使ったナショナルブランドの菓子が全国で発売され、そのパッケージにもくまモンが登場…。
図2 パッケージに使いやすいシンプルな造形。写真左から順に、(1)お菓子の香梅「誉の陣太鼓」、(2)味覚糖「ぷっちょ くまモンワールド」「ぷっちょ すもも」、(3)ヒライ「爆弾おにぎり」。なお、熊本県外の企業が熊本県外で食品を販売する場合、熊本県産の原料を使うなどが必要
もともとは2011年の九州新幹線の開業に合わせ、観光客誘致を目的に生み出されたこのPRキャラクターは、今や熊本県の産業全体を売り込む強力な「営業部長」にまで成長した。同県の経済を支える重要なデザイン資源となったのだ。
■多様なデザインに落とし込みやすい
地方自治体や地場の企業が「ゆるキャラ」「ご当地キャラ」と呼ばれるキャラクターを次々と生み出して飽和状態にあるなか、なぜくまモンはこれほどの人気キャラクターへと成長したのか。誕生当初からくまモンのPR活動に携わってきた成尾課長は、デザインという視点から見たときの要因を5つ挙げた。
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