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【プロ野球】

阪神3連勝、ゴメスで王手

2014年10月18日 紙面から

7回表1死二、三塁、ゴメスが左前に勝ち越しの2点適時打を放つ=東京ドーム

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◇クライマックス・セ ファイナルS第3戦(東京D) 阪神4−2巨人

 プロ野球のクライマックスシリーズ(CS)は17日、東京ドームとヤフオクドームでセ・パ両リーグのファイナルステージ(6試合制)第3戦があった。セ・リーグは、リーグ2位の阪神がマウロ・ゴメス内野手(30)が勝ち越し適時打など3打点の活躍でリーグ優勝の巨人に4−2で逆転勝ちして3連勝、2005年以来の日本シリーズ進出に王手をかけた。パ・リーグは、リーグ3位の日本ハムが陽岱鋼外野手(27)の2発5打点、中田翔内野手(25)の4試合連続弾などでリーグ優勝のソフトバンクに12−4と圧勝、アドバンテージを含む対戦成績を2勝2敗のタイとした。

     ◇

 すべての呪縛を解き放ったゴメスがほえた。山脇一塁ベースコーチの手が吹き飛ぶようなタッチをかわし、何度も両手をたたき合わせた。もう言葉じゃない。技術じゃない。背負ってきた苦難をすべてぶつけた打球は、王手をかける決勝の2点適時打へと変わった。

 場面は2−2で迎えた7回だった。1死二、三塁と一打勝ち越しの状況で迎えた第4打席。「直球を狙って、内角にうまく反応できた」とカウント1−1から山口が投じた内角直球を、こん身の力で振り抜いた。バットが折れたような鈍い打球音。だが振り切った打球は坂本の頭上を越えて、左中間に落ちた。

 試合を決める大きな、大きな2点タイムリーに敵地は興奮のるつぼと化した。一塁塁上で何度もガッツポーズを繰り出し、神に感謝したゴメス。2点を追う6回には左前適時打を放ち、反撃ののろしを上げた。3安打3打点はまさしく主軸の働き−。和田監督も「4番らしい仕事をしてくれた」と称賛を惜しまない。

 ドミニカ共和国からアメリカへ渡り、日本で才能を開花させた男。球団関係者は「彼が歩んできた道のりは決して楽なものではなかった」と言う。ドミニカのレンジャーズアカデミーでは、同級生、後輩がアメリカへ渡っていく中、今か今かとアメリカ行きの切符を待ち続けた。

 「やっと来たかという思い」で渡った米国では、不遇の連続だった。メジャー登録の25人に入るには力が足りず、一塁しか守れない代打要員はチームに不必要と判断された。働き場所を求めて渡ってきた日本。4番の重圧よりも、自分の力を発揮できる環境が何よりもうれしかった。

 だからこそ「体は疲れてるけど、それは自分たちのやることだから」と笑ったゴメス。長い歴史を誇り、幾多の激闘を繰り広げてきた伝統の一戦−。日本一の挑戦権をかけた戦いで一気に王手をかけた。「最後までしっかり戦い抜きたい」と力を込めた4番。歓喜の瞬間はもう、目前まで迫っている。 (重松健三)

 

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