2014年7月1日(火) 東奥日報 社説



■ 全県挙げ おもてなしを/「B−1」十和田開催

 ご当地グルメによるまちおこしの祭典「第10回B−1グランプリ」全国大会が、2015年秋に十和田市で開かれることが決まった。B−1は地域に根ざした食を通じて、「わがまち」を元気にしようと活動している団体が一堂に会する年に1度のイベントだ。全国各地から出展する団体と来場者を迎えるプロジェクトがいよいよスタートする。まちおこしに取り組む仲間たちを「オール十和田」「オール青森県」の態勢で迎えたい。

 大会に立候補表明していた「十和田バラ焼きゼミナール」(バラゼミ)に対し、主催団体「ご当地グルメでまちおこし団体連絡協議会」(愛Bリーグ)の評議員会は、異論なく開催を決めた。十和田市へのB−1招致の動きは、民間レベルが主導し続けた。市民団体の署名活動、経済界による誘致推進協議会の発足などが、大きなうねりとなり、行政トップの市長も開催に賛同を表明した。このような民間が主体となったB−1招致は、前例がない。

 また、昨年秋に同市で開いた地区大会「北海道・東北B−1グランプリ」を成功させた実績も決め手となった。バラゼミをはじめとした市民の地道な積み重ねが、全国のまちおこし仲間からあらためて高い評価を受けたことになる。

 しかし、開催までには対応すべき課題も多い。バラゼミ、十和田商工会議所、市などが中心となり、今秋、実行委員会が組織されるが、本番までの準備期間は1年余と、決して長くない。大会経費は民間から賛助金も募るが、市の税金が投入される見通し。応援する市民の期待に応えるよう運営にあたらなければならないのは言うまでもない。

 また、人口6万4千人ほどの十和田市は、過去のB−1全国大会開催都市の中では人口が最も少ない。十和田観光電鉄線が廃止されたことで、人員の大量輸送に対応できる公共交通機関がなく、およそ50万人ともされる来場者の足の確保に不安を抱える。宿泊施設も市内だけではまかないきれない。これらは関係者に共通している認識だ。

 ならば、それを逆手に取って、十和田市だけでなく、上十三・三八圏域全体のイベントとして位置づけたいという。具体的には近隣自治体に駐車場などの拠点を設け、来場者をバスでシャトル輸送する構想だ。

 愛Bリーグの渡邉英彦代表理事も「(大きな都市でなくとも)このようなイベントをきちんと開催できるモデルに」と、将来のB−1開催の新たなスタイルを描くことに期待を寄せる。

 06年2月に八戸市で産声を挙げて以来、回を重ねて全国が注目する一大イベントに成長したB−1グランプリ。その10回目という意義ある節目の大会は、経済効果を得る意味もあるが、何よりも本県のもてなしの心(ホスピタリティー)も試される大会となるのではないか。同時に一過性のイベントに終わらせることなく、新たな地域おこし、ひとづくり活動のスタートラインとしてほしい。




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