新しく発表された 5K Retina iMac を見て2つのことを感じた。
ひとつは、普通のひとのための(For the Rest of Us)iMac が高価でずいぶん遠い存在になってしまったなあという感慨。
もうひとつは、アップルはなぜ 5K の外付けディスプレイを出さないのだろうかという疑問だった。
その疑問に答える意味で、Marco Arment の「Retina iMac 対 Mac Pro の机上比較」がとても興味深い。
The Retina iMac versus the Mac Pro, on paper | Marco.org
Marco Arment は最新の Mac Pro につなぐアップル製外付けディスプレイを渇望していた。その彼が新しく発表された 5K Retina iMac の素晴らしさに、Mac Pro を売って Retina iMac に買い換えようかと悩んで2つを詳細に比較したものだ。
ここでは外付けディスプレイの可能性の部分を取り上げる。
* * *
Mac 向けの 5K 外付けディスプレイが出るまで待つか
Waiting for an external Apple 5K display for Mac Pros or other Macs?
どうしても結論をといわれれば、出るまではだいぶ時間がかかるし、現在売られているどの Mac とも互換性はないだろうと言わざるを得ない。
If I had to guess, you’ll have a long wait, and they won’t work with any Mac sold to date.
パネルの歩留まりは当分タイトだろうし、アップルにとって外付けディスプレイの優先度は高くない。オリジナル iMac の画期的な LCD パネルがアップルの外付けディスプレイに使用されるまでにはほぼ1年かかっている。しかしそれが最大の問題ではない。
Panel yields may be tight for a while, and external displays are a low priority for Apple. The original 27” iMac’s groundbreaking LCD panel wasn’t available in an external display from Apple for almost a year after its release. But that’s not the biggest problem.
* * *
次期 Thunderbolt 3 まで待つ必要がある
これほど多くのピクセルを処理するには DisplayPort 1.2 以上の処理能力が必要だ。DisplayPort 1.2 は現在 Thunderbolt 2 のポートでビデオ信号出力用に使われている。(この点についてはこれまでも何度か触れた。) この問題を解決するためには、Broadwell の後継プロセッサ Skylake に対応する Thunderbolt 3 用の DisplayPort 1.3 を待つ必要がある。しかし少なくともあと1年は登場しそうにない。インテルの出荷予定は当てにならないからもっと遅れるだろう。
Pushing this many pixels requires more bandwidth than DisplayPort 1.2 offers, which is what Thunderbolt 2 ports use for outputting video signals. (I wrote about this a few times.) Doing it right will require waiting until DisplayPort 1.3 in Thunderbolt 3 on Broadwell’s successor, Skylake, which isn’t supposed to come out for at least another year — and Intel is even worse at estimating ship dates than I am, so it’s likely to be longer.
* * *
DisplayPort 1.2 MST 仕様でもムリ
5K ディスプレイに2つの DisplayPort 1.2 を使うか、あるいは2本の Thunderbolt 2 ケーブルを使うことも可能かもしれない。ただしそれは GPU がそれぞれのポートを全帯域幅の DisplayPort 1.2 チャンネルとして扱うことができ、その2系統の合計が1つの論理ディスプレイとなり、さらには2系統の信号がディスプレイ側で正しくひとつにまとめられる場合に限るけれども。今のところ Mac Pro を含めてどの Mac にもそれが可能だとは思えない。MST 仕様の伝送方式が 4K パネルを 60 Hz で駆動できるのはあくまで内蔵された個別ポート間の話であって、外付けの場合はサポートされていない。
It may be possible to use two DisplayPort 1.2 or Thunderbolt 2 cables to power a 5K display, but only if the GPU could treat each port as its own full-bandwidth DisplayPort 1.2 channel, the sum of which represented one logical display, and had the panel combine and properly sync the two at the other end.1 I don’t think any of the current Macs can do this, including the Mac Pro — MST to run 4K panels at 60 Hz only seems to be supported within individual ports, not spanned across two.
* * *
2016 年までは出るまい
私の予想では(たびたび間違えることは承知しているが)、少なくとも 2016 年まではアップルがスタンドアローンの 5K ディスプレイを出荷することはないと思う。たとえ出ても現在のどの Mac とも(2013 Mac Pro を含めて)互換性はないだろう。
I’d estimate — granted, I’m wrong a lot — that Apple won’t ship a standalone 5K display until at least 2016, and it won’t work with any of today’s Macs, including the 2013 Mac Pro.
* * *
Thunderbolt 2 では最新の Mac Pro ですら 5K の処理ができないということか。
そういえばキーノートのスライドに Mac Pro の姿はない・・・
こんにちは、いつもとても興味深く読まさせて頂いています。一カ所「?」賭されている部分について。大まかな訳は次のようになるのではないかと思います。
しかしそれは GPU がそれぞれのポートを全帯域幅の DisplayPort 1.2 チャンネルとして扱うことができ(つまり、その二系統の合計が一つの論理ディスプレイとなる)、さらにディスプレイ側でその2系統の信号が正しくひとつにまとめられれば、ということだが。
これからも楽しみにしています。
> silvervine さん
久しぶりのコメント ありがとうございます
自分が知らないことを訳すのは 至難の業ですね
ご指摘のように 訂正しました