古田大輔
2014年10月18日20時15分
ニュース記事や写真などを使い、エンジニアやデザイナーらのチームが新サービスの立案・開発を競うハッカソン「新聞5紙 NEWS HACK DAY」が18日、東京・渋谷で始まった。15日からの新聞週間に合わせて朝日、日本経済、毎日、読売、産経の全国紙5紙が共同で開いた。
テーマは「ニュースの新しい読み方、楽しみ方」。会場の朝日新聞社メディアラボ渋谷分室には希望者約100人から抽選で選ばれた49人が参加した。それぞれが新サービスのアイデアをまとめたあと、13のチームを編成。5紙が提供する記事データなどを活用するサービス開発に取りかかった。25日には各チームによる成果物の発表と審査、表彰がある。
ハッカソンとは「ハック(活用する、うまくやり遂げる)」と「マラソン」を組み合わせた造語。米国のIT企業を中心に行われてきたが、国内でも最近、さまざまな企業や団体が開催している。
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会場には、朝日新聞社以外の4紙のデジタル版やオンライン事業担当者も集まり、アイデア発表やサービス開発を見学していた。
彼らが強い関心を寄せたのは、親が毎朝、子どもに読んで欲しいニュースを選び、スマートフォン(スマホ)に送信する「ニュース弁当」。「親子のコミュニケーションを生む」(毎日新聞デジタルメディア局の佐伯信二プロデューサー)と評価された。
各社の記事から書き手の取材対象への感情を分析するアイデアも。日本経済新聞デジタル編成局の町田敏生プロデューサーは、ソーシャルメディア上で話題の記事を選んで配信するスマートニュースやグノシーなどのキュレーションサービスを例に「読み手ではなく、書き手の視点でキュレーションする試みもありえる」と述べた。
これらのアイデアは、各社の記事データなしには成り立たない。なぜ、各新聞社単独ではなく、ライバル関係にある5紙が結集し、社外の技術者やデザイナーを招いてハッカソンを開く必要があるのか。
産経デジタルクリエイティブ本部の東郷龍一副本部長は「新聞社には、新しいサービスを生み出す文化がない。必要なのはユーザー視点や実際にサービスをつくっている異業種の人たちの発想」と話す。
オンラインメディアが次々と生まれる中で、新聞の影響力の今後は、共通の課題だ。
朝日新聞はこれまでにも自社でハッカソンを開いてきたが「業界の問題を一社でやるより、協力して新たな挑戦をしたい」(メディアラボの野澤博プロデューサー)と、他の4紙に協力を求めた。
読売新聞メディア局企画開発部の松井正部長は「技術系コミュニティーと接点を持つ機会でもあり、新聞を読まない人たちにニュースを届ける手法を業界全体で考えたい」と述べた。(古田大輔)
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