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 「中国とイタリアは美食の国。中国にはギョーザと春巻き、イタリアにはパスタとピザがある」――。アジア欧州会議(ASEM)首脳会合に参加するためイタリアを訪れた中国の李克強(リーコーチアン)首相は、レンツィ伊首相との共同会見で、「豊かな食文化」という共通分野での協力強化を呼びかけた。

 中国では上海の食品会社による期限切れの鶏肉使用問題などが起き、消費者の不安が深刻な課題だ。李首相としては、イタリアと並ぶ「グルメ大国」だとアピールし、「名誉回復」をはかる狙いもあるようだ。イタリア・ミラノでは来年5月、「食」をテーマにした万博が開かれる。

 両首脳は14日の会見で、80億ユーロ(約1兆円)規模の経済協力を発表。食品分野での貿易促進なども確認した。3年連続のマイナス成長で、景気対策が急務のレンツィ首相が「両国関係は大きく前進した。だが、これはまだ前菜だ」と述べると、李首相は「いや、(前菜の前の)食前酒にすぎない。未来のメーンディッシュはみんなの想像を超えるだろう」と応じた。(ミラノ=倉重奈苗、石田博士)