MS新OS:「9」飛ばし「10」 PC戦略飛躍狙う
毎日新聞 2014年10月01日 21時09分(最終更新 10月01日 21時46分)
「9」を飛ばして「10」へ−−。米マイクロソフトは30日、次期基本ソフト(OS)「ウィンドウズ10」を発表した。「8」の後継であるにもかかわらず、「飛躍的な進化」をアピールし「10」と名付けた。発売は2015年中になる見通しだ。パソコンでの使いやすさを重視し、法人顧客のつなぎ留めを図る方針だが、世界的にパソコン離れが進む中、新たな戦略の成否は見通せない。
「製品の出来栄えを見れば、この命名に賛同してもらえるだろう」。米サンフランシスコで同日開いたイベントで、テリー・マイヤーソン上級副社長は、名称を「10」とした理由をこう説明した。これまでの延長線ではないと強調、「新世代ウィンドウズの第一歩だ。ウィンドウズ10は法人顧客にとって、これまでで最良の製品になるだろう」と述べ、米アップルや米グーグルとの間の法人顧客争奪戦に自信を見せた。
12年発売の「8」で、マイクロソフトはデスクトップ画面にタブレット端末のような「タイル」と呼ばれるアプリ起動用の四角い表示を採用。タッチ操作はしやすいものの、パソコンで使う場面の多い法人顧客の間では使い慣れない仕様で、他社製品への流出が起こった。
このため「10」では「7」まで採用していたスタートボタンを復活させるなど、パソコンやマウスでの使いやすさを重視。同社の家庭用ゲーム機「Xbox」やスマートフォンなどとも仕様を共通化し、一つのアプリでどんな端末でも使えるようにするという。
ただパソコン回帰の戦略が奏功するかは見通せない。米調査会社IDCによると、パソコンの世界出荷台数は11年の約3億6000万台をピークに減少傾向にあり、14年は3億台にとどまる見込み。先進国では普及が一段落しており、家庭向けでは手軽なタブレット端末などの流れが強まっているためだ。
法人分野でも、7月にはアップルと米IBMが法人顧客獲得に向け業務提携を発表するなど競争は激化しており、巻き返しは簡単ではない状況だ。【ワシントン清水憲司、高橋直純】