円相場110円台:米雇用統計改善なら111円台の可能性
毎日新聞 2014年10月01日 20時11分
1日の東京外国為替市場の円相場は一時、1ドル=110円9銭まで円安・ドル高が進み、リーマン・ショック直前の2008年8月25日以来となる110円台をつけた。米国経済の回復期待が一段と強まり、ドルは対ユーロでも上昇しており、「ドル独歩高」の様相となっている。今週末の米雇用統計など主要経済指標の結果次第では「ドル高、円安がさらに進む」との見方が出ている。
東京外為市場では午前10時ごろから、投機筋を中心に円売り・ドル買いの動きが強まった。朝方発表された日銀短観は「材料視されなかった」(アナリスト)ものの、3日に米雇用統計の発表を控え、米国の景気回復が改めて確認されるとの期待が高まったためだ。
市場では、欧州中央銀行(ECB)が2日の理事会でデフレ突入を阻止するため追加緩和に踏み切るとの観測も浮上。来年半ばにも利上げが予想される米国と、金融緩和が当面続く日欧との金利差が広がるとの見方から、ドルが集中して買われ、円やユーロが売られた。1日午後5時時点の円相場は前日比43銭円安・ドル高の1ドル=109円84〜86銭。
円相場は8月中旬、1ドル=102円台で推移していたが、米国経済の堅調な回復を受け、円売り・ドル買いの動きが拡大。1カ月あまりで8円近くも円安が進んだ。経済界には急激な円安進行に懸念もあるが、政府・日銀は「今の円安は日本経済にプラス」と現状の円安水準を容認する姿勢を見せている。政府・日銀のこうした姿勢も市場の安心感につながり、円安を加速させている。
2日には日銀が短観の一環で調査した企業の物価見通しを発表する。日銀が目指す2%の物価上昇達成への懸念が広がれば、追加緩和期待が高まり、円売りが加速する可能性もある。大和証券の今泉光雄チーフ為替ストラテジストは「週末まで110円前後で推移し、米雇用統計が市場予想を上回って改善すれば、1ドル=111円台に入る可能性がある」と分析している。【朝日弘行】