冬季電力需給:原発稼働ゼロOK 全社が安定供給量確保

毎日新聞 2014年10月01日 20時08分(最終更新 10月01日 20時57分)

 経済産業省は1日、電力9社の冬季の電力需給見通しを公表した。昨冬に続いて原発稼働ゼロを前提とした場合でも、来年2月の需要ピーク時の供給余力を示す「供給予備率」は全国平均で6.4%となり、全社が安定供給に最低限必要とされる3%以上を確保した。冬季の需要が多い北海道電力は10%以上を確保する見通しで、政府は3季ぶりに数値目標付き節電要請を回避することも検討する。

 有識者でつくる電力需給検証小委員会に示した。需給見通しでは、発電所の新設による供給力の増加や、節電の定着による需要抑制により、供給予備率は東日本3社で8.4%、西日本6社で4.8%となる見通し。関西電力と九州電力は、西日本の他電力から電力融通を受けて3.0%を確保する。ただし、供給力確保のため定期点検を延期している火力発電所が全国で2割を占めており、発電所トラブルにより需給が逼迫(ひっぱく)するリスクがある。

 北海道電は昨冬、10年度比で6%以上の節電目標が設定された。本州との間で融通できる電力が最大60万キロワットしかなく、道内で発電所のトラブルが重なれば大規模停電につながる恐れがあるためだ。一方、北海道電は家庭向けで平均約17%の電気料金の再値上げを申請しており、政府の審査を経て11月にも値上げを実施する見通し。料金値上げで需要が抑制されることを見込んだ場合、供給余力は15%超に達する見通し。政府は再値上げの影響について検討を進め、10月末にもまとめる今冬の節電対策で節電目標の是非を検討する。【中井正裕】

 ◇電力9社の今冬の電力需給見通し

 電力会社 供給予備率

 北海道 11.4%

    (15.7%)

 東北   9.0%

 東京   7.9%

 中部   5.7%

 関西   3.0%

 北陸   7.2%

 中国   8.3%

 四国   5.5%

 九州   3.0%

 9社計  6.4%

     (6.6%)

 ※供給予備率は来年2月の需要ピーク時。想定した寒さは、北海道は2010年度並み、東北、東京は13年度並み、その他は11年度並み。カッコ内は北海道が料金値上げをした場合。

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