日銀短観:景況感、半年ぶり改善…大企業・製造業

毎日新聞 2014年10月01日 09時02分(最終更新 10月01日 13時06分)

大企業の業況判断DIの推移
大企業の業況判断DIの推移

 日銀が1日発表した9月の企業短期経済観測調査(短観)によると、企業の景況感を示す業況判断指数(DI)は、大企業・製造業が前回6月調査より1ポイント上昇のプラス13となり、2四半期(6カ月)ぶりに小幅改善した。しかし、大企業・非製造業や中堅・中小企業は悪化。円安の恩恵を受ける輸出企業などの業況感が改善する一方、消費低迷や円安に伴う原材料価格の上昇などで、内需関連企業が弱含んでいることが鮮明になった。

 DIは、景気が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた企業の割合を引いた数値。6月調査時点では大企業・製造業が3ポイント改善、大企業・非製造業は横ばいを予想していたが、消費増税の影響が続いており、想定よりも景気回復が遅れていることを示す結果となった。

 大企業・製造業は、16業種のうち7業種で改善。自動車が7ポイント上昇のプラス20だった。増税後の販売低迷が続いているが、円安で円建ての利益がかさ上げされるためだ。「非鉄金属」も21ポイント上昇のプラス27と大幅に改善した。ただ、円安で原材料の輸入コスト増の影響を受けやすい「紙・パルプ」は7ポイント低いマイナス4。「食料品」も2ポイント下落のプラス6となり、円安がプラスに効くか、マイナスに響くかで明暗を分けた。

 一方、大企業・非製造業は12業種のうち10業種が悪化した。増税後の住宅販売の反動減が響いた「不動産」は10ポイント悪化のプラス22、「小売り」は2ポイント悪化のマイナス1だった。中小企業のDIは、製造業が2ポイント下落のマイナス1、非製造業も2ポイント下落の0といずれも2四半期連続で悪化した。増税後の消費低迷に加え、円安で原材料の輸入価格が上昇してコスト高になったことが響いた。

 3カ月後の先行きについては、大企業・製造業が横ばいのプラス13、大企業・非製造業が1ポイント高いプラス14を予想しており、景気回復がもたついている姿がうかがえる。一方、大企業・全産業の2014年度の設備投資計画(ソフトウエア投資を除く)は、前年度比8.6%増となった。

 調査は1万369社を対象に8月27日〜9月30日に実施。大企業・製造業が想定する14年度の為替レートは1ドル=100円73銭。最近は想定より9円程度の円安となっている。【朝日弘行】

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