エボラ出血熱:米大統領「地球規模の脅威」、支援を要請

毎日新聞 2014年09月26日 13時48分(最終更新 09月26日 13時54分)

エボラ出血熱対策の会合後、握手するオバマ米大統領(左)とアフリカ連合(AU)のズマ委員長(中央)。右はWHOのチャン事務局長=米ニューヨークの国連本部で25日、ロイター
エボラ出血熱対策の会合後、握手するオバマ米大統領(左)とアフリカ連合(AU)のズマ委員長(中央)。右はWHOのチャン事務局長=米ニューヨークの国連本部で25日、ロイター

 【ニューヨーク草野和彦】西アフリカで猛威を振るうエボラ出血熱対策について各国首脳らが話し合うハイレベル会合が25日、国連本部で開かれた。オバマ米大統領は、対策を講じなければ感染による死者は数十万人規模に達する恐れがあるとし、「地球規模の安全保障に対する脅威だ」と警告。各国は今後数週間、感染封じ込めへの貢献を「最優先課題」とするよう訴えた。

 米国は16日、現地への米軍3000人派遣を含む包括的対策を発表している。オバマ大統領は25日の会合で「もっと多くの国の貢献が必要だ」と述べ、輸送手段や医療要員、資材などの提供を呼びかけた。

 世界保健機関(WHO)の25日の発表では、エボラ出血熱感染による死者は2917人、感染者数は6263人。会合を主宰した潘基文(バン・キムン)国連事務総長は「(感染が原因で)1日で200人以上が死亡している」と危機感をあらわにした。

 事務総長によると、国連機関の支援活動を統括するため設立された「国連エボラ緊急対処ミッション」の先遣隊は既に現地入りした。また、国連職員向けの現地派遣募集に対し、4000人以上から応募があったという。

 世界銀行は25日、感染拡大防止への追加支援として1億7000万ドル(約184億円)を拠出し、支援総額が4億ドルになることを発表。会合に出席したキム総裁は「経済的な悪影響は広範囲で、長期に及ぶ恐れがある」と指摘した。

 感染国は、渡航制限による「孤立化」被害にも遭っている。感染国の一つシエラレオネは、内戦を経て国家再建の途上にあり、ビデオ会議システムで会合に参加したコロマ大統領は「テロよりひどい疫病」と語った。

 現地で活動している「国境なき医師団」のジョアンヌ・リュー会長は、国際社会の支援表明を歓迎する一方で、「約束された支援がまだ届いていない」と述べ、各国の指導者に対して言葉を行動に移すよう求めた。

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