
同じマツ目でも、イヌマキはマキ科マキ属で、コウヤマキはスギ科コウヤマキ属である。イヌマキの葉はコウヤマキに比べて扁平で光沢がない。イヌマキの葉は螺旋状か互生にでるのに対して、コウヤマキの葉は輪状にでる。コウヤマキの球果は大きくて松笠状で、雌雄同株である。
イヌマキの分布は中国大陸の南部にまで及ぶが、コウヤマキの分布は日本に限定される。

イヌマキは2〜7月頃に発生するキオビエダシャクトリムシの被害が大きい。特に西南諸国に分布しイヌマキを食害するこのシャクトリムシは、いったん発生すると葉を食いつくし枯損させる。このシャクトリムシの密度を制御できる天敵が存在せず、食樹がなくなって初めて密度が減少するという関係になっている。
したがって、造林してもシャクリトムシの加害によって成林の見込みが立たないのが現状である。耐蟻性の強い用材として有用な樹なので、キオビエダシャクトリムシの防除法の開発が急がれる。

材は黄褐色ないし暗褐色、心材と辺材と境は明らかでない。材は緻密で心材は赤褐色をしており、腐りにくい。そろばん玉、箱などの器具などにも用いられる。
耐水性・耐久性が強いので、水湿の多い場所での建築や土木用材として、また耐蟻性や耐潮性にも強いので、沖縄では古来、柱などの建築材として尊重されている。耐蟻性に優れていることから、南西諸島の木材生産樹種として有望である。
イヌマキの別名をクサマキというのは、材に一種の臭気があるからである。
高耐蟻性のイヌマキにはテルペン類の殺蟻成分ククトンが含まれる。モッコクやハリギリにもテルペン類の殺蟻成分であるサポニンが含まれる。
古くから腐朽木材にシロアリが誘因されることが知られているが、ある種の腐朽材からシロアリを誘引するフェロモンが発見されている。
白蟻を誘引する有効な物質を早急に同定し、誘引剤を用いた白蟻退治を期待したい。

なぜ、白蟻は木材のみの食料で、あのように活発に動くことができるのか不思議である。白蟻は消化管のなかにいるバクテリアによって木材を消化させている。ただし、バクテリアに必要なエネルギー(炭素)は木材に十分あるが、栄養となる窒素がないので、消化管のバクテリアは大気中の窒素を固定していることが、最近明らかになっている。
木材の成分の大半を占めるセルロースは、地上で最も量が多い高分子化合物で、ブドウ糖が多量結合しており、動物のエネルギー源になっている。もし、白蟻とバクテリアとの共生の研究が進み、木材のセルロースが簡単に分解できれば、木材の食料化が可能で、人口増加による世界の食料不足の解消も夢ではない。 <2007.09>
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