1 記事の紹介
「中国のインターネット掲示板に、『日本人に『どうして日本に来たのですか?』と聞かれたとき、あなたはどう答えますか?』との質問が掲載され」ており、それに対する「本音」を記事にしたものです。まず、「質問を投稿したネットユーザーは、『日本を訪れたことのある外国人は、必ずと言っていいほどこの質問をされる。面接でも、飲み会でも、何かの集まりでも、何度も聞かれるだろう』」としています。
これに対する回答ですが、以下のようなものがありました。
「友達には『高校のときからアニメにはまっていて、大学生になって外国に行きたかったから』と答える。大学の教授には『建築学を学びたかったからです』と答える。面接官にも同じ。会社に入って上司には『日本が大好きだからです』と答え、通行人には適当に応える。『近いから』『好きだから』『渋谷に行きたかったから』、なんでもありだ」
「なぜ日本に?『英語が難しかったから』だよ」
「私の理由はおそらく、『国内の厳しい競争から逃げたかった』『悔いが残った大学生活をやり直したかった』になるだろう」「日本人が好きな模範回答は『日本文化を理解して日中の懸け橋になりたいから』『中国の報道とは違う、本当の日本を知りたかったから』『日本の先進技術を学びたかったから』の3つ。私の場合は父が大学教授だから、3つ目を使っていた。注意しなければならないのは、『日本には金を稼ぎに来た』『中国よりも遊べるから』『両親に言われて仕方なく』『日本は美女が多いから、成人向け動画にでてくるような嫁さんを探しに来た』などは、たとえ心に思っていたとしても、決して口に出してはいけない」
2 日本の魅力
中国の若者が日本人の友人に言うのであれば、日本のアニメや漫画にひかれてというのが無難なのかもしれません。昔はここにゲームが入っていたのですが、最近では、残念ながら日本のテレビゲームはかつてほどの勢いはなくしてしまっていますし、日本の優越性というのも既にあまりないようです。
これが面接などもう少し正式な場となれば、確かに「日本の先進技術」云々という話を出しておけば無難ですし、日本人の優越心を満足させる回答となっており、二重の意味で無難でしょう。
3 質問
何事にも本音と建て前があり、「どうして日本に来たの」と聞いてきた日本人相手に本音を話すバカはいません。それ以前に私的に疑問でならないのは何故常に外国人にこうした質問をするかということです。
本当は身もふたもない理由で来たのかもしれませんが、そんなことを言っても日本人が喜ばないことは当たり前なので、型通りの無難な回答しか返ってこないはずなのに何故こうした質問をするのかという話です。
おそらく、心のどこかに日本は特別だという思い(日本は他の国と違って特殊なのに、何故日本にという思い)や、白人に対するコンプレックス(何故欧米諸国からわざわざ日本へ)ということがそういう質問をさせているのかと思いますが、そろそろやめた方が良いのではないでしょうか。
4 本音
実際、中国人が日本に来た理由は、アニメや漫画など日本から本当に日本に関心があったという方もいられるでしょうが、本音は別にあるのが一般的でしょう。本当は欧米に行きたかったが、行けるのが日本しかなかった。英語の結果が悪かったが、日本語なら選択している人が少ないし、漢字も多いので、何とかなった。
これは外国から来るだけでなく、日本から外国に行く場合もあるかと思いますが、国内では行ける大学がなかったが、留学生枠なら何とかなった(海外留学と「逃避」)。
こうしたことを聞いて日本人が喜ぶかどうかという問題があるので、とても本当のことを言うわけにはいきませんが、実際問題、先にことは誰にもわからないわけで、半分運(運命としか言いようのないもの)で決まってしまうのもよくある話です。
大学が典型ですが、どうして○○大学に来たのかと聞かれて、正式な場であればあるほど、学校紹介のパンフレットにある建前を話すことになります。しかし、実際は△△大学に合格しなかったというのが本音で、そういうことは良くあるのではないでしょうか。
しかし、住めば都で、通っているうちに愛着も出てくれば、それなりに良いところも見えてくるので、この大学に最初から自分が進学するのが決まっていたような気になるという話も良く聞きます。
中国に行く日本人も同じで、建前は悠久の歴史だとか、これからは中国の時代だとか、なんだとかかっこ良いことを言いますが、実際は費用が安かった云々というのが最大の理由かと思います。
5 最後に
斯様に、日本に来た理由など聞いても全く意味がないわけですが、日本人にしてみれば、外国人が他の国ではない日本を選んでくれた的な発想から優越感を満足させてくれる面があるのかもしれません。ただ、その回答は建前のオンパレードですし、聞いたとしても一時、優越感を満足させるもの以上のものはないので、私的にはどうかなと思っているという話です。
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