2014年10月18日03時27分
ノーベル賞に値する発明を日本で増やしていくには、どうしたらいいのか。研究者への報奨や大学教育のあり方はどう見直すべきなのか。ノーベル物理学賞の受賞が決まった中村修二・米カリフォルニア大サンタバーバラ校教授(60)に聞いた。
■「米国、優秀な科学者はみな起業」
――特許の権利を「会社のもの」にする政府の方針をどう評価しますか。
「反対というより、猛反対。サラリーマンがかわいそうじゃないですか。(青色LEDめぐる)私の裁判を通じて、(企業の研究者や技術者への待遇が)良くなってきた。それをまた、大企業の言うことをきいて会社の帰属にするのはとんでもないことです」
――なぜですか?
「米国はベンチャー企業の起業が盛ん。科学者であっても、ベンチャーやって、ストックオプション(新株予約権)でお金を稼いでいる。優秀な科学者はみな起業する。日本にはベンチャーの『ベ』の字もない。起業しやすいシステムがないことが問題ですね。米国では、ベンチャー企業に大企業の優秀な研究者もくる。ところが日本では、大手企業からベンチャーにはこないのが実情です」
――「会社のもの」は経済界が強く求めました。
「企業の発明者の待遇は良くなってきたのに、ここで法律を変えてしまっては厳しい。起業のシステムをちゃんと整えてからでないと。首相の安倍(晋三)さんは、大企業ばかりを優遇しているように思う」
――報酬を払うことは義務づける方針です。
「報酬を会社が決められるようになっているのは、問題です。会社が決めたら、会社が決めたことに日本の社員は文句を言えない。みな、おとなしいから。社員は会社と対等に話ができないから、会社の好き放題になりかねません」
――企業側からは、訴訟を起こされるおそれがあるから国際競争力低下につながるとの指摘もあります。
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