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胡散臭さがなんかいい

2008-05-24

被害者の利益とぶつかるのは嗜好者の利益ではなく加害者の利益

| 02:52 |

ロシアと日本だけが単純所持禁止になっていないが故に、女性が18歳未満時に性的暴行を受けた画像が出回っているらしい。

無論現行法でも取り締まりは可能だろう。

が、攻撃力は高い方が良い。

被害者の利益は嗜好者の利益よりも重んじられるべき - 解決不能

攻撃力の高低ではなく、攻撃相手を間違っている。

児童ポルノ規制が保護しようとしているものは無論、児童の人権である。ということは、児童ポルノ規制で規制すべきものは、児童の人権を侵害しているものでなければならない。

家で動画を見る行為で、そこに映し出された人の人権は侵害されない。なぜなら、被写体となった人の人権侵害は完了しているからである。

東浩紀さんが書いていて、hagakurekakugoさんも「同意見」と言われている

その(=児童ポルノの所持や購入)行為そのものが「虐待を経て作られたポルノ」への潜在的なニーズの表明になり、制作者の虐待意欲(?)を高めるという因果は十分に考えられる。

hirokiazuma.com

も、同じ文章内で

児童との性的な行為は犯罪でも、児童への性的な欲望そのものは犯罪ではない。

と書かれている通りで、ポルノを作る「虐待」は犯罪だが、それへの「潜在的なニーズの表明」そのものは犯罪ではない。だいたい、虐待者の虐待意欲を高める行為が犯罪となるなら、コメント等で散見される「僕には必要」という性的嗜好の表明はもうそれ自体犯罪になってしまう。

実際に加害行為に及んだ者と単にそれを嗜好している者を同列視する意見には、どうしても賛成できない。

ついでに書くと

飲酒運転厳罰化してから激減したという。

飲酒運転は人をはねてしまったりする可能性がかなり高まることが証明されているわけで、児童ポルノ単純所持規制を正当化する例としてこれを持ち出すには、東浩紀さんも言下に否定していた「強力効果説」を持ち出す必要がある。

光市母子殺害事件報道などについて、被害者の人権が軽んじられてると主張される方々は、児童ポルノの被害者のためにも是非単純所持にも賛同して欲しいものだ。

「被害者の人権が軽んじられてる」行為が何を指すのか私には分かりかねるが、児童ポルノの単純所持が当該児童の人権を軽んじていると言えるのかどうかが今まさに問われている問題なので、単純所持は人権侵害ではないという主張であれば、十分に両立可能なのではないかとも思える。


単純所持規制という基本的人権の侵害に賛成しようというからには、もう少しマシな理由を言っていただきたいと思う。