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高橋政代氏、iPS細胞の“目利き”育成を- 培養技術者の重要性強調


 理化学研究所(理研)発生・再生科学総合研究センター(神戸市)の網膜再生医療研究開発プロジェクトリーダー・高橋政代氏は17日、東京都内で講演した。その中で、高橋氏らの研究チームが先月、iPS細胞から作った網膜の色素上皮細胞を滲出型加齢黄斑変性の患者へ移植した世界初の手術にこぎ着けられた理由について、「きれいなiPS細胞とそうでない細胞を見分けるテクニカルスタッフの目が的確だった」と振り返った。今後、iPS細胞の大量生産につなげるためには、この“目利き”を育成していく必要があるとした。【丸山紀一朗】

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講演する理研の高橋氏(17日、都内)

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iPS細胞で世界初の手術(2014/09/16)


 「患者の皮膚から作った多くのiPS細胞の中には、きれいな細胞とそうでない細胞とがある。しかし、われわれのチームには長年の経験があるテクニカルスタッフがそれを見分ける目を持っていた。そこがポイントだった」と高橋氏は述べ、テクニカルスタッフの細胞培養技術の重要性を強調した。

 再生医療に用いる臨床用iPS細胞の操作は、無菌環境の細胞調整施設(CPC)内で専門の技術者が行う必要がある。高橋氏は、iPS細胞を作る工程は複雑だと語り、「CPC内で、10か月にわたって一挙手一投足を監視されながら、絶対に間違えてはいけないという環境下で息の詰まる作業をする」と説明した。

 また高橋氏は、iPS細胞の培養技術は通常の細胞の場合とは全く異なるとし、「通常の培養の知識は邪魔になることもあるので、もっと謙虚にiPS細胞の“顔”を見て、愛情を持って接しないといけない」と指摘。さらに、今回の手術までのスケジュールを振り返り、「一番時間がかかったのは細胞を培養する人を確保・育成することだった」とした上で、「再生医療の発展のために重要なのは人材づくりだ」と述べた。

■京大・山中氏、人材育成には「公的な資格が必要」

 同じく講演した京大iPS細胞研究所の山中伸弥所長も、再生医療を推進していくためには人材育成がカギになるとの認識を示した。その上で、優秀な人材を育成するには、専門的な知識や技術を客観的に把握するための仕組みが必要と指摘。山中所長は、「研究を支える細胞培養の資格をいくつかの機関が作ろうとしているが、現在公的な資格はない」と述べ、新たな資格制度の創設を要望した。

 この日開かれたのは、「再生医療支援人材育成ワークショップ」。京大と阪大、東京医科歯科大が来月にも設立する人材育成団体、「再生医療支援人材育成コンソーシアム」の準備委員会が主催した。


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( 2014年10月17日 20:55 )

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