野上英文
2014年10月17日17時15分
日本の小学生におなじみのランドセルが、海外で注目を集めている。丈夫さやデザインが受け、中国人観光客らを中心にお土産として人気が上昇中。少子化で国内の需要が縮むなか、業界各社は好機とばかりに海外市場へ目を向け始めた。
■「日本のドラマで見た」「丈夫なカバンと話題」
中国の建国記念の日にあたる「国慶節」の大型連休最終日だった今月7日、関西空港の国際線出発エリア(大阪府泉佐野市)にある免税店「萬(よろず)」と「和(なごみ)」は中国人でごった返していた。
売り場の一角には、定番の黒と赤に加え、青や茶、ピンクと豊富な色のランドセルが並ぶ。中国語で「日本製 高級学童カバン」「通学で毎日使っても卒業まで丈夫に使える」と書かれた張り紙があった。
中国・広州から来たアパレル会社員の梁雲亭(リアンユンティン)さん(23)は「あって良かった。お手頃な価格なので買う」と言い、1万2千円の特価品とされた赤色のランドセルを手にした。小学3年生の妹(8)のために探していた。ランドセルは、中国で放映されている日本のドラマで知ったという。
「日本の小学生がみんな背負っている丈夫なカバンだと、中国でも話題だ。日本製じゃないと買わない」
北京から家族で来た蔡浩(ツァイハオ)さん(31)は、長女(4)が「この色が好き」と選んだピンク色に決めた。「娘が小学生になったら使う。デザインがいい」と話す。
この日は6万円の高級品も含め、2店舗で計16個が売れた。店頭に並べ始めた6月から予想を上回る売れ行きで、8月には200個以上を販売。両店の責任者の大村泰二郎さん(39)は「お国柄か、男女問わず赤色が人気。『日本製か?』と念押しされることもあるので、メード・イン・ジャパンの高品質が支持されているようだ」と喜ぶ。
人気は中国にとどまらない。今春、ハリウッド女優のランドセル姿が米メディアに取り上げられ、ファッション感覚で背負う欧米の大人の写真がインターネット上に次々とアップされた。香港の日刊紙や米CNNは9月下旬、「人気の日本土産」と相次いで報道した。ランドセルを扱っている米通販サイト「アマゾン」には、購入者による「娘が愛用」「五つ星だ」「息子の学校用品は問題なく入るよ」といった評価が英語で書き込まれている。
■少子化で縮む国内市場、業界も熱視線
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