「ドン」巻き上がる粉じん＝野外コンサートでの崩落事故

　【ソウル時事】「『ドン』と何かが崩れるような音がし、そちらを見ると、粉じんが巻き上がっていた」。
　韓国京畿道城南市の野外コンサート会場で起きた換気口の崩落事故。現場近くにいた観客の一人は地元メディアに対し、事故発生瞬間の惨状を語った。
　会場となったショッピングモール前広場。午後5時ごろから始まったイベントには、韓国の人気アイドルグループが複数出演し、大勢のファンでにぎわっていた。公演開始の20分前に会場に着いた人によると、崩れた換気口の上からはステージがよく見えるため既にファンが陣取り、公演が進むとともに、徐々に人々が集まってくる状況だったという。
　換気口は横3〜4メートル、縦5メートルほどの鉄格子のふたが、3分の2程度崩れ落ちたもようだ。
　YTNテレビが放映した事故当時の映像では、ステージに向かって右のやや後方にある換気口で崩落事故が起きた後も、ステージ上にいた人気グループ「4ミニッツ」はしばらくの間気付かず、歌とダンスを続けていた。換気口の近くにいた観客以外の多くは、崩落に気づかないまま、ステージに熱中している様子だった。
　聯合ニュースによると、ある目撃者は、事故前、換気口に上がった観客らに対し、イベントの司会者が「危険だから下りてください」と促したが、観客らは耳を貸さなかったと語った。換気口にフェンスなどは設置されておらず、周辺に安全管理要員も配置されていなかった。聯合は「安全不感症がもたらした典型的な後進国型人災」と指摘した。