ベネズエラは先週、エネルギー価格の下落に歯止めをかけるため、石油輸出国機構(OPEC)の緊急会合の開催を求めた。これに関心を示したのはOPECの産油国の仲間ではなく、次第に不安を募らせる米ウォール街の債券投資家だった。
バンクオブアメリカ・メリルリンチのシニアエコノミスト、フランシスコ・ロドリゲス氏は「最近しきりに質問されるのは、ベネズエラが(債務を)支払えなくなる原油価格の水準はどのくらいかということだ」と話す。
■物資不足、「シリアより深刻」
ベネズエラは世界最大級のエネルギー資源埋蔵量を誇るが、経済は悪化の一途をたどり、マドゥロ大統領は深刻な外貨不足のなかで対外債務の支払いをまかなうため、輸入削減を余儀なくされている。すでにトイレットペーパーから医療必需品まであらゆる物資が不足している。
ワシントンにあるカーネギー国際平和財団のシニアアソシエイト、モイセス・ナイーム氏は「信じがたいことだが、ベネズエラの物資不足はシリアより深刻だ」と述べた。
今週の原油価格の下落はさらに債務不履行(デフォルト)の可能性への懸念をあおることになり、ベネズエラの国債利回りは18%超まで上昇し、クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)の保証料率は2230ベーシス・ポイント(bp、1 bp=0.01%)を上回った。原油はベネズエラの輸出収入の約95%を占めている。
国営ベネズエラ石油(PDVSA)元総裁のラミレス外相は「OPECは原油安がこれ以上進まないように協調行動をとるべきだ」と述べた。「この状況は市場のファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)ではなく、主要産油国に経済問題を引き起こすための価格操作によるものだと確信しており、なおさら(そうした行動が)必要だ」と述べた。
世界的な原油価格の下落で浮き彫りになったのは、エネルギー需要減少と米国のシェールガス増産により、世界のエネルギー生産とその結果としての地政学的な勢力のバランスにいかに変化をもたらしているかだ。
しかし今のところ、11月27日に次回会合を予定するOPECは、ベネズエラの緊急会合の呼びかけに応じていない。実際には、OPECの原油生産量の半分を占めるサウジアラビア、イラン、イラクが、市場シェアを維持するために割安な価格でアジアの需要家に原油を売っているほどだ。国際指標の北海ブレント原油は16日に一時、1バレル83ドルを下回り、2010年以降で最低の水準に落ち込んだ。
円安が日本にとって良いことは、あまねく認められている真実だ。経済の再浮揚を図る安倍晋三首相の計画にとって弱い通貨が重要な目玉であることは、少なくとも(国内の)東京では概して認められていない真実だ。…続き (10/17)
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