| 対策マニュアルA |
掲示板管理者等のサイト管理者等に対して請求する方法としては、web上のフォームから行う方法、プロバイダ法ガイドラインに則った方法、裁判手続き(仮処分)を利用する方法があります。
弁護士さんに最初から仮処分を選択してもらう方法もありますが、他にも以下のような方法があります。
| webフォーム等からの依頼 | ガイドラインに則った請求 | 裁判などの仮処分 | |
| 期間 | 1日から数日で対応される またはなんらの回答もなしの場合も |
回答までに1月前後のサイトが多い。 1週間程度で回答が出るサイトも。 |
裁判所の決定が出るまでに2週間くらい。 |
| 効果 | フォームからのメッセージを管理者が確認しているのであれば、 削除してもらえる可能性が高いけれども、 発信者情報開示請求については難しい |
削除に関しては対応されることが多いけれど、 発信者情報開示請求については慎重に。 |
裁判所の決定を取得できれば 削除も発信者情報開示請求も速やかに対応。 |
| コスト・手間 | 低 | 中 | 高 (裁判所に出頭するための費用や保証金を供託する必要も) |
| 適しているケース |
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問題のサイトにwebフォームやメールアドレスの記載など、管理者と連絡が取れる窓口が用意されていれば、それを利用して法的請求を行うこともできます。
ただし、webフォームから削除請求をした場合、問題の情報が削除されるのと同時にその書き込みが行われた時のアクセスログも消されてしまう可能性もあります。
発信者情報開示請求を予定しているのであれば、web上のフォームから削除請求を行う場合、併せて発信者情報開示請求を予定している事やアクセスログを消さないでほしいという事を記載した方が良いです。
プロバイダ等で構成される一般社団法人テレコムサービス協会は、プロバイダ責任制限法の運用についてのガイドラインを制定しており、発信者情報開示請求の書式なども公開しています。
大手のプロバイダ各社の運用も基本的にはこのガイドラインに沿ったものです。
なお、請求書類の送付先や必要な添付資料に関しては、請求先のサイト管理者等が持つサイトに記載がある事も多いので、まずは管理者側のサイトを確認するようにします。
ガイドラインの書式を用いないで内容証明郵便などで請求を行ってもいいですが、プロバイダ側で本人確認に必要な添付書類や権利侵害の各類型に必要な証拠資料を定めているケースが大半なので、資料を同封できない内容証明郵便よりはガイドラインに従って請求を行ったほうが良いです。
ガイドラインで請求書に添付することが求められる書類
請求を受けたサイト管理者等は発信者に連絡が取れない場合を除き、原則として発信者に意見照会をします。その後、回答期限を経て請求者に対し正式な回答を行うところが多く、意見照会の期間は7日〜14日とされていることが多いです。
また、意見照会のほかに、発信者に示しても良い情報の範囲や削除対象についてサイト管理者より問い合わせが出ることがありますから、連絡があった場合は速やかに対応するようにします。
請求を行ってから回答がなされるまでの期間は、多くの場合1か月程度かかりますが、最初から仮処分を行う方法だと早く確実です。
裁判外で請求をしても望ましい結果が得られない場合は、裁判を起こすしかありません。削除や発信者情報開示を求める場合、訴訟ではなく民事保全法の仮処分手続きを利用する方が迅速かつ簡便に実行可能です。
インターネット上の権利侵害に対して裁判を行うなら、どこの裁判所に申し立てを行うのかが問題になりますが、原則として裁判を起こす相手の住所地を管轄する裁判所となります。
ただし、例外規定も多いので、それらを利用してなるべく自分に有利な裁判所へ申し立てることができないかを検討できるので、管轄については、裁判の相手の状況や請求する内容によっても考え方が違います。
添付書類として準備するものは、以下のとおりです。
サイト管理者等から発信者情報の開示を受けた場合でも、ほとんどのケースでは発信者等の氏名は判明せず、IPアドレス等のアクセスログしかわかりません。
そこでIPアドレスを「whois検索」を用いて調査し、どこのプロバイダなのかを特定します。
投稿に使用されたプロバイダが判明したら、アクセスプロバイダを相手に手続きを進めていきます。
アクセスプロバイダに対する発信者情報開示請求で開示できるものは、以下のとおりです。
アクセスログの保存や裁判での手続き等はサイト管理者に対するものとほぼ同じです。