October 17, 2014
最新の研究によれば、クレーターで覆い尽くされた土星の衛星ミマスの地下には、液体の水の海が存在するという。いずれ、地下海の可能性が指摘されている衛星の仲間入りを果たすかもしれない。
土星の主要衛星の中では最も小さいミマスは、密度が低く、大部分の氷と岩石で構成されていると考えられている。約23時間の周期で土星を公転しているが、その周回中にリズミカルな揺れが検出された。研究責任者でアメリカ、コーネル大学の惑星科学者ラドワン・タジェディン(Radwan Tajeddine)氏は、「地下に海があるという仮説は、この現象の説得力のある解釈の1つにすぎない」と言う。ミマスのコアが球体ではないという点も、有力な原因として考えられる。「氷で覆われた外層は球体だが、岩石のコアはラグビーボールのような楕円体らしい」と同氏。
どのような理由であれ、土星探査機カッシーニ・・・
土星の主要衛星の中では最も小さいミマスは、密度が低く、大部分の氷と岩石で構成されていると考えられている。約23時間の周期で土星を公転しているが、その周回中にリズミカルな揺れが検出された。研究責任者でアメリカ、コーネル大学の惑星科学者ラドワン・タジェディン(Radwan Tajeddine)氏は、「地下に海があるという仮説は、この現象の説得力のある解釈の1つにすぎない」と言う。ミマスのコアが球体ではないという点も、有力な原因として考えられる。「氷で覆われた外層は球体だが、岩石のコアはラグビーボールのような楕円体らしい」と同氏。
どのような理由であれ、土星探査機カッシーニの画像を丹念に調べて発見した揺れは、研究チームにとって予想外だった。地球の衛星の月を含めて、多くの衛星は公転中にわずかに揺れているため、その事自体には驚きはない。しかしその幅は、直径400キロ程度の衛星にしてはかなり大きい。「1回の公転で3キロ程度と予想していたが、実際にはその2倍もあった」。
研究チームはさまざまなシナリオのコンピューター・シミュレーションを使って揺れの原因を探った。巨大な衝突クレーター「ハーシェル」の下に、小惑星の残骸が埋もれているという説も登場。その大きさから、ミマスの外見は映画『スター・ウォーズ』に登場する宇宙要塞「デス・スター」にそっくりだと言われている。高密度の残骸があれば、ミマスの片側がもう一方より重くなり、土星の強力な重力に引かれてバランスが崩れ、揺れが生じると考えられる。
しかし、そのような不均衡が存在する場合、ミマスの向きに影響を与え、クレーターがいつも土星の正面に来るはずだ。しかし、実際にはそうなっていないため、このアイデアは却下された。
岩石のコアが楕円体なら、ミマスの方向に影響を与えずに同様の揺れが生じるという仮説も成り立つ。
さらに、岩石コアが通常の球体だった場合、厚さ20~30キロの氷の外殻の間に地下海が存在しても、同様の結果を招く可能性があるという。「生卵と固ゆで卵を同時に回転させた場合、ゆで卵の方が速く回る。様子は多少異なるが、ミマスの揺れは内部の部分的な液体に関連しているとも考えられる」とタジェディン氏は説明する。
実際に地下海が存在するとしても、太陽系では珍しい話ではない。木星の衛星エウロパ、ガニメデ、カリストや土星の衛星エンケラドスは既に確認済みで、土星の衛星タイタンにも同様の可能性が指摘されている。
タジェディン氏のチームは、ミマスの地下海を実際に証明したわけではないと明記している。コーネル大学の惑星科学者ジョゼフ・バーンズ(Joseph Burns)氏は、今回の研究には参加していないが、「ミマスの予想外の動きを示し、説得力のある説明をいくつか提案している」と解説。
専門家は、地下海を満たしているのは液体の水と想定している。生命維持に不可欠な要素の1つだが、その存在は保証されていない。しかし、エウロパやエンケドラスの地下海と同様、少なくとも可能性は生じる。
ナショナル ジオグラフィック協会エマージング探検家でジェット推進研究所(JPL)の宇宙生物学者ケビン・ハンド(Kevin Hand)氏は、「氷の下には太陽系最大級の海が広がっているのかもしれない」と語っている。
今回の研究結果は、10月17日発行の「Science」誌に掲載されている。
Photograph by NASA/JPL/SSI