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帰還断念せざるをえない状況進む結果
10月17日 19時36分

帰還断念せざるをえない状況進む結果
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原発事故に伴って町の全域に避難指示が出されている福島県浪江町と富岡町の住民に、復興庁などが帰還の意向を聞いたことしの調査結果がまとまり、帰還しないと答えた人が前回よりもさらに増え、いずれもほぼ半数に上ったことが分かりました。
長引く避難生活で帰還を断念せざるをえない状況が進んでいる結果となりました。

この調査は、復興庁と東京電力福島第一原発の周辺の市町村などが毎年行っていて、ことしの調査としては初めて、浪江町と富岡町で8月に行われた結果が公表されました。
それによりますと、「戻らないと決めている」と答えた人は、浪江町で10.9ポイント増えて48.4%、富岡町で3.2ポイント増えて49.4%と、いずれもほぼ半数に上りました。
一方で、「戻りたいと考えている」と答えた人は、浪江町で去年より1.2ポイント少ない17.6%、富岡町で0.1ポイント少ない11.9%と、いずれもほぼ横ばいでした。
前回の調査で「まだ判断がつかない」と答えた人が、帰還をあきらめて「戻らない」と答えたとみられ、長引く避難生活で帰還を断念せざるをえない状況が進んでいる結果となりました。
去年の調査では、福島第一原発周辺の大熊町と双葉町で「戻らないと決めている」と答えた人が60%を上回っており、若い世代を中心にふるさとへの帰還をあきらめる動きが加速しています。
ただ、震災前と同じ場所で暮らすことを願う人も一定の割合でおり、復興庁は県や町と協議して、今回の調査結果を復興計画に反映させたいとしています。
また、ほかの8つの自治体の調査結果についても今年度中に発表する予定です。

浪江町長「より見える形で町の再生を」

町の全域が避難区域に指定されている浪江町の馬場有町長は「事故から時間がたつなかで、道路や学校などインフラの復旧状況が見えづらいことが、町にもう戻らないという気持ちにつながってしまったのではないか。住民にとっては将来に対する不安が強く、なかなか希望も持てない状況だが、住民どうしの絆を絶やすことなく、より見える形で町の再生を進めていきたい」と話しています。

富岡町長「心が離れてしまわないよう対策」

今回の意向調査の結果について、富岡町の宮本皓一町長は「厳しい結果と受け止めている。ただ、戻るか戻らないかの二者択一ではなく、第3の選択肢として将来帰還するという人もいる。そのため、避難の長期化で心が離れてしまわないよう、県外の避難先の支援拠点を来月にも開設するとともに、いずれは町の駅前周辺を復興拠点と位置づけて医療などの整備を急ぎたい」と話していました。

仮設住宅で暮らす人たちは

今回の意向調査の結果について、福島県富岡町の住民が避難生活を続ける郡山市の仮設住宅で聞きました。
74歳の男性は「今、町に戻ってみると除染が終わり、雑草などが掃除されている場所もあり、周りには現状を見て帰ることにしたと話す人もいる。今後の復興しだいで数字は変わるのではないか」と話していました。
一方、自宅が町内の帰還困難区域にある59歳の男性は「帰りたくても帰れないという人が多いと思う。震災と原発事故以降、避難のために移動を繰り返してきたが、母親が高齢で、これ以上負担をかけられないので仮設にとどまっている」と話していました。
また、自宅が避難解除準備区域にある36歳の男性は「帰れるものなら帰りたいが、知らないうちに自宅の周辺に除染の廃棄物が山積みになっているのを見て、帰れないと感じた。震災の影響で体調が悪く病院に通っているが、町に戻ったとして今と同じように医療を受けられるのかも不安に感じている」と話していました。

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