アメリカやイギリス、イタリアなどが次期主力戦闘機とする、F35です。
今回、日本も生産の一翼を担うことになりました。
F35は、9か国が共同で開発しました。
その生産も各国が部品を融通し合う国際的なシステムになっています。
日本企業は、まず自衛隊向けに部品の製造や機体の組み立てを担当すると計画されています。
しかし将来的には、日本製の部品も、国際的なシステムに参加することが期待されています。
開発の中心担うロッキード・マーチン社 ジョエル・マローン氏
「日本にはまず自国向けの機体を製造してもらいます。
その後は世界に部品を供給してもらう機会も探りたいと考えています。」
三原則の見直しを追い風に、新たに海外の軍事市場に参入しようとする企業も出てきています。
フランスで6月に開かれた、武器や警察装備の見本市です。
東京の中小企業が開発した、携帯型サーチライト。
1.5キロ先の目標を照らすことができます。
フランス軍需企業
「アフリカの部隊から日本製の装備を輸出してほしいと言われている。」
社長の深澤篤(ふかざわ・あつし)さんです。
展示会では、中東やアフリカなどから100社以上の名刺が集まりました。
ジャパンセル 深澤篤社長
「これ見て『いいね』って。
手応えは感じています。」
深沢さんの会社では、もともと医療機器や半導体などに使うガラスの特殊加工を手がけてきました。
しかし6年前のリーマンショックで業績が一時的に落ち込み、生き残り戦略として、軍や警察向けの市場参入を決めました。
ジャパンセル 深澤篤社長
「仕事は実際に減っています。
この業界がダメになっても、別の業界で仕事を継続できるよう、違う新しいことを選択しなければいけない。」
今年8月、深沢さんはトルコでの商談に臨みました。
軍事市場への参入を決めた矢先に三原則が見直され、絶好のチャンスになるととらえています。
商談先は、軍などに制服や防弾チョッキを販売するトルコの商社です。
トルコの商社
「いいね、すごく軽いね。」
商社側は、トルコ以外の国でも販売する権利がほしいと要求しました。
トルコの商社
「シリア、イラク、イラン、アゼルバイジャン、マケドニア、今はウクライナの市場が熱いです。」
商談の結果、まずはトルコ警察を中心に売り込むことが決まりました。
年間3億円の売り上げを目指します。
ジャパンセル 深澤篤社長
「(三原則の見直しが)追い風ではある。
法律の範囲内でできることをやる。」
一方、軍事市場への流出を懸念し輸出管理を厳しくしている会社もあります。
無人ボートを製造するメーカーの社長、幸田耕二郎(こうだ・こうじろう)さんです。
ボートを輸出する際には現地に足を運び、軍事転用されていないか直接確認しています。
このメーカーが製造する無人ボートは、コンピューター制御で自律航行します。
水中の地形を超音波で調べ、データを無線で送信。
ダムなどの測量に使われています。
輸出先を直接確認するようになったのは、ここ数年、思わぬ国からの問い合せが増えたからでした。
イスラエル、リビア、イランなど、世界中からメールが届きます。
紛争やテロに使われれば、企業イメージに大きな傷がつくと、警戒しています。
コデン 幸田耕二郎社長
「もし本当に軍事転用されると、我々としては怖いので。
爆弾みたいなものとか載せてくることが考えられるので。」
この会社では輸出したあとも年に一度、メンテナンスで製品を回収しています。
勝手に改造されていないか、チェックを徹底するためです。
しかし先月(9月)、思いもよらない事態が起きました。
聞いたことのないチリの企業から、突然、修理の依頼が来たのです。
メールには、以前ボートを輸出した企業から分社した会社だということが記されていました。
その会社のホームページを開こうとしたところ…。
コデン 幸田耕二郎社長
「開かない。」
この日、メールに記された連絡先を確認することはできませんでした。
コデン 幸田耕二郎社長
「いきなり何も言わないでこんなメールがきて、わからないよね。」
「一回戻してもらって、検査した方がいいのかなと思うんですけど。」
いくら対策を徹底しても起きる不足の事態。
軍事転用を防ぐ管理には、終わりがないといいます。
コデン 幸田耕二郎社長
「知らないところに行ってしまうのは、怖いですね。
軍事目的に、想定していないところで使われるのは、大きな企業リスクを感じています。」