人類誕生、自然科学、文明…そして音楽
6月2日(月)
夜中にふと屋上に上がって星空を眺めていると、いろんな想いが浮かんできます。
◆生命の誕生から人類の出現
・地球誕生…46億年前
・生命誕生… 1億8000万年前(カンブリア紀)
・人類誕生… 20万年前 (クロマニヨン人、ネアンデルタール人)
クロマニヨン人やネアンデルタール人が地上に現れたのは、今からおよそ20万年前といわれています。地球誕生、生命誕生(カンブリア紀)から見たら最近の出来事ですね。
その頃も今と同じように太陽が輝き、夜空には月や星空が見えていたはずです。
でもまだそれらがどういうものなのか、そもそも人間のいる地球はどういう姿なのか、日食や月食はなぜ起こるのか…といったことは何も解っていなかったはずです。
◆自然科学への目覚め (4~500年前)
・コロンブス(1451~1506 英国)
・レオナルド・ダ・ヴィンチ(1452~1519 イタリア)
・コペルニクス(1473~1543 ポーランド)
・マゼラン(1480~1521 ポルトガル)
・ニュートン(1642~1727 英国)
地球は丸い、そして天が回っているのではなく地球が回っている、といったことが分かってきたのは、いまからせいぜい4~500年前のことです。
日本では室町時代の末期、信長の時代に大航海によって日本へたどり着いた宣教師らによってそのことが伝えられました。
そしてニュートンは万有引力を発見し、重力加速度もすでに計算していました。
人類が誕生してから20万年という長い長い歴史の中で見れば、かなり新しい出来事ですね。
今は小・中学生のうちに、地球・太陽・月の運動、星の誕生からブラックホールまで、およそどういうものかは学んでしまいます。人類の知恵は素晴らしいものです。
でも逆に、古代ギリシャやエジプトや中国の人たちは、そのような基本的な天文学や地学の知識はまったくなかったにも関わらず、太陽や星の動きを正確に観測して「暦」をつくり、ピラミッドや塔の高さを正確に知る「測量技術」をもち、太陽の道筋(=天の赤道)に沿った12の星座を選び出して「占星術」を生み出していたのです。これもまた素晴らしい人類の知恵だとは思いませんか?
♪
そんなことを思いながら、星空から地上へと目を向けてみると、街の明かりがまたたき、自動車や列車が走り、羽田に発着する飛行機の灯りが見えます。これらの元が誕生したのは産業革命以降です。
◆産業文明の誕生 (200~250年前)
・初の蒸気機関…ワット(スコットランド)1769年
・初の蒸気船(外輪船)…フルトン(米)1807年
・初の蒸気機関車…トビレシック(英)1802年、スティーブンソン 1816年
・電気製品の祖(電球、蓄音機など)…エジソン(米)1847~1931年
・通信…ベル(スコットランド)が電話を発明 1876年
・内燃機関…オットー(独)がガソリンエンジンを開発 1876年
・自動車…ダイムラーが自動車の特許申請 1885年
・飛行機…ライト兄弟(米)が初飛行に成功1903年
今日の文明の基礎となったほとんどのものは、1700年代後半から100年ほどの間に生み出されてきたものばかり。今から200~250年前の出来事です。
さらに、いま話題の原子力の歴史は…
1957年にアメリカのアイゼンハワー大統領の提唱によって原子力の平和利用の推進を目的に国連内にIAEA(国際原子力機関)が設置されました。日本でも原発が作られるようになったのは 今から50年ほど前からです。
こうして見てくると、現代社会において人間がしのぎを削って新しい技術を追い求め、企業が利益を追求し、それによって社会・経済を動かし、ときに国を巻き込んでの利害の対立を生み…
それらのほとんどは人類誕生の歴史を1日に置き換えると、日付の変わる直前のわずかの間に起きた出来事。それに翻弄されているのが現代人のように見えてきます。
ところで…
◆音楽の起源は? (紀元前~)
音楽の歴史は、人類誕生からどれぐらいたって始まったのでしょうか?
おそらく石器時代の人たちも、石の板をたたいてリズムを刻んだり歌ったりしていたのではないかと思います。
数学者として有名なピタゴラス(紀元前582年~ 紀元前496年)がすでに「音の高さは比率で決まる」ということを発見し、5度の音程(ドとソの関係)は2:3の比率で決まることを解明していました!
それから弦楽器や管楽器など、今日の楽器のルーツともいえる楽器がどんどん作られ、シルクロードや海を伝わって世界に広まり、それぞれの国・地域・民族ごとに独自の音楽(楽器や音律)を発展させてきました。
ところで、地球上にはたくさんの生き物がいる中で、音楽を奏でるのは人間だけでしょうか?
虫たちも羽をこすり合わせたり鳴き袋を振動させたりして音を出します。ハ虫類・両生類・哺乳類の中にも身体のどこかを振動させたり声を発して鳴くものが多くいます。生き物の種類によって鳴き方は決まっていて、音の振動は空気を伝わって仲間たちの聴覚へと伝わり、危険を知らせたり、オスがメスに求愛したり… でもそれらが「音楽」と呼べるものでしょうか?
また、私が子供のころ住んでいた名古屋市内の東山動物園にいた3頭のゴリラが、おもちゃのタイコ・ラッパ・シンバルを「演奏」していました。人間に教わって楽器を見よう見まねで使い、スピーカーから流れる音楽に合わせ鳴らしてはいましたが、自分たちで楽器を作ったわけでも、曲を作ったわけでも、自分たちでテンポやキイを決めたわけでもありません。
おそらく人間が奏でているような「音楽」は、他の生き物たちにはないものではないでしょうか?
♪
音楽は神様が人間にだけ授けてくださった特別のプレゼントとも言えるかもしれません。
古代から人間が音楽を奏でる上でもっとも重要だった場面は、さまざまな儀式、祀り(祭り)、礼拝…といった「神様と接する場面」が圧倒的に多かったはずです。
キリスト教の教会で聖歌が歌われ、グレゴリー聖歌・教会旋法が生み出され、イスラムの世界では独特の節まわしによってコーランが唱えられ、アジアでも神を祀る祭りで楽曲が奏でられ、日本では雅楽が生まれ、仏教の世界でもお経から声明(しょうみょう)が生まれ…
さらに古い記録がどれほど残っているかは不明ですが、おそらく石器時代にもすでに人はものを叩いて音を鳴らす、管状のものを吹いて鳴らす、弦をこすったりはじいたりして音を鳴らす…といったことを日常の中で発見し、道具を作る中で楽器のようなものも作っていたに違いありません。
大陸から日本の各地にかけても、古くは鏡(自分の姿を映す道具であると同時に神聖な神具でもあった)と一緒に銅鐸(どうたく)も出土しています。
そして音楽は、神にささげるためだけではなく、労働するときにただ頑張って力を出すよりも音(おもにリズム)に合わせて皆で力を合わせた方が大きな力を出せる力を持っていたり、人のこころを慰めたり癒す力があったことも知っていったのではないでしょうか。
今日でいう労働歌であったり、音楽療法で再発見されているようなさまざまな「音楽の力」を、われわれの祖先である古代の人たちもすでに知っていたのではないか、と私は考えています。
◆クラシック音楽 (およそ300年前~)
このように音楽そのものは人類がこの世に生まれてからそれほど長い年月を要することなく自然発生的に生まれたのではないかと思われますが、今日「クラシック音楽」と呼ばれているような音楽の原型ができたのは、ルネッサンス・バロック時代以降でしょう。
「音楽の父」と言われるバッハの時代に平均律が生まれ、今日のピアノの原型であるハンマー・クラビーアが作られ、ストラディバリウスによって弦楽器の名器がつくられていったのは、今からちょうど300年ほど前のことです。
そしてバッハやヘンデルに次いで、ハイドンの時代に交響曲(オーケストラで演奏される曲)がつくられ、モーツァルト、ベートーヴェンといった古典音楽がドイツを中心に展開し、それがブラームスらによってロマン派へと引き継がれ、イタリア、フランス、ロシアにも優れた作曲家が多くの名曲を生み出し…
つまり現在「クラシック音楽」と総称される音楽は、ここ300年ほどの間に集中して生み出されてきたことになります。
それはまるで、「カンブリア爆発」とよばれる生命体の爆発的な誕生が一時期に集中して起こったように、またコロンブスやコペルニクスらによってそれまで未知に包まれていた地球の姿が一気に解き明かされたように、また今日われわれが使っているような文明の数々が産業革命以降わずか100年ほどの間に一気に生み出されたように…
◆100匹目のサル
「100匹目のサル」という喩え話があります。ある島に住むサルたちが、イモを海水で洗って食べると塩分が加わっておいしいことを発見しました。それが島のサルたちに伝わって広まっていくわけです。99匹までそれが伝わったころで、その島から遠く離れたまったく別の島で、突然イモを海水で洗って食べるサルが現れた…!
100匹目のサルは、「伝達」によって知ったのではありません。たまたま同じ時期に偶然の発見が別の場所で起きた喩えです。
長い長い人類の歴史の中で、たまたま同じような時期に、同じようなことを考えて解明する人が同時発生的に現れる…今日の科学技術における発明でもそうですが、ある程度の基礎的な知識が備わるまでの時間は必要ですが、それがある時たまたま似たようなことを思いつく人が現れ、どっちがタッチの差で先に発見するかを競い合う…不思議ですね。
◆地球は音楽のあふれる星
ところで、まだ見ぬ地球外生命の中にも音楽を奏でる仲間がいると思いますか?
私は個人的には宇宙人は怖くて嫌ですが、音楽を演奏する宇宙人とだったら会ってみたいと思います。
100年後には「宇宙人類学」や「宇宙音楽概論」といった講座もできているかもしれませんね(笑)。
「2001年宇宙の旅」のテーマにもなったR.シュトラウスの「ツァラツストラはかく語りき」やホルストの組曲「惑星」あたりを、地球人と宇宙人と合同で演奏し、巨大なスピーカーを使って銀河系に向けて響かせることができたら…
でも、残念ながらそれはできません。空気のない宇宙空間では音は伝わりませんから…(笑)
少なくとも今分かっている範囲で、音楽を演奏する生命体が存在し、音を鳴らして聴くことのできるのは、空気に満たされたこの美しい地球上だけなのです。
この地球に生きる人類として、目先の経済(お金の動き)や産業(企業活動)に振り回されることなく、また利害の対立からお互いが傷つけ合い殺し合うような過ちを繰り返すことなく、「音楽の力」をもっと共有して地球にいられる幸せを感じることができたら…
夜中にふと屋上に上がって星空を眺めていると、いろんな想いが浮かんできます。
◆生命の誕生から人類の出現
・地球誕生…46億年前
・生命誕生… 1億8000万年前(カンブリア紀)
・人類誕生… 20万年前 (クロマニヨン人、ネアンデルタール人)
クロマニヨン人やネアンデルタール人が地上に現れたのは、今からおよそ20万年前といわれています。地球誕生、生命誕生(カンブリア紀)から見たら最近の出来事ですね。
その頃も今と同じように太陽が輝き、夜空には月や星空が見えていたはずです。
でもまだそれらがどういうものなのか、そもそも人間のいる地球はどういう姿なのか、日食や月食はなぜ起こるのか…といったことは何も解っていなかったはずです。
◆自然科学への目覚め (4~500年前)
・コロンブス(1451~1506 英国)
・レオナルド・ダ・ヴィンチ(1452~1519 イタリア)
・コペルニクス(1473~1543 ポーランド)
・マゼラン(1480~1521 ポルトガル)
・ニュートン(1642~1727 英国)
地球は丸い、そして天が回っているのではなく地球が回っている、といったことが分かってきたのは、いまからせいぜい4~500年前のことです。
日本では室町時代の末期、信長の時代に大航海によって日本へたどり着いた宣教師らによってそのことが伝えられました。
そしてニュートンは万有引力を発見し、重力加速度もすでに計算していました。
人類が誕生してから20万年という長い長い歴史の中で見れば、かなり新しい出来事ですね。
今は小・中学生のうちに、地球・太陽・月の運動、星の誕生からブラックホールまで、およそどういうものかは学んでしまいます。人類の知恵は素晴らしいものです。
でも逆に、古代ギリシャやエジプトや中国の人たちは、そのような基本的な天文学や地学の知識はまったくなかったにも関わらず、太陽や星の動きを正確に観測して「暦」をつくり、ピラミッドや塔の高さを正確に知る「測量技術」をもち、太陽の道筋(=天の赤道)に沿った12の星座を選び出して「占星術」を生み出していたのです。これもまた素晴らしい人類の知恵だとは思いませんか?
♪
そんなことを思いながら、星空から地上へと目を向けてみると、街の明かりがまたたき、自動車や列車が走り、羽田に発着する飛行機の灯りが見えます。これらの元が誕生したのは産業革命以降です。
◆産業文明の誕生 (200~250年前)
・初の蒸気機関…ワット(スコットランド)1769年
・初の蒸気船(外輪船)…フルトン(米)1807年
・初の蒸気機関車…トビレシック(英)1802年、スティーブンソン 1816年
・電気製品の祖(電球、蓄音機など)…エジソン(米)1847~1931年
・通信…ベル(スコットランド)が電話を発明 1876年
・内燃機関…オットー(独)がガソリンエンジンを開発 1876年
・自動車…ダイムラーが自動車の特許申請 1885年
・飛行機…ライト兄弟(米)が初飛行に成功1903年
今日の文明の基礎となったほとんどのものは、1700年代後半から100年ほどの間に生み出されてきたものばかり。今から200~250年前の出来事です。
さらに、いま話題の原子力の歴史は…
1957年にアメリカのアイゼンハワー大統領の提唱によって原子力の平和利用の推進を目的に国連内にIAEA(国際原子力機関)が設置されました。日本でも原発が作られるようになったのは 今から50年ほど前からです。
こうして見てくると、現代社会において人間がしのぎを削って新しい技術を追い求め、企業が利益を追求し、それによって社会・経済を動かし、ときに国を巻き込んでの利害の対立を生み…
それらのほとんどは人類誕生の歴史を1日に置き換えると、日付の変わる直前のわずかの間に起きた出来事。それに翻弄されているのが現代人のように見えてきます。
ところで…
◆音楽の起源は? (紀元前~)
音楽の歴史は、人類誕生からどれぐらいたって始まったのでしょうか?
おそらく石器時代の人たちも、石の板をたたいてリズムを刻んだり歌ったりしていたのではないかと思います。
数学者として有名なピタゴラス(紀元前582年~ 紀元前496年)がすでに「音の高さは比率で決まる」ということを発見し、5度の音程(ドとソの関係)は2:3の比率で決まることを解明していました!
それから弦楽器や管楽器など、今日の楽器のルーツともいえる楽器がどんどん作られ、シルクロードや海を伝わって世界に広まり、それぞれの国・地域・民族ごとに独自の音楽(楽器や音律)を発展させてきました。
ところで、地球上にはたくさんの生き物がいる中で、音楽を奏でるのは人間だけでしょうか?
虫たちも羽をこすり合わせたり鳴き袋を振動させたりして音を出します。ハ虫類・両生類・哺乳類の中にも身体のどこかを振動させたり声を発して鳴くものが多くいます。生き物の種類によって鳴き方は決まっていて、音の振動は空気を伝わって仲間たちの聴覚へと伝わり、危険を知らせたり、オスがメスに求愛したり… でもそれらが「音楽」と呼べるものでしょうか?
また、私が子供のころ住んでいた名古屋市内の東山動物園にいた3頭のゴリラが、おもちゃのタイコ・ラッパ・シンバルを「演奏」していました。人間に教わって楽器を見よう見まねで使い、スピーカーから流れる音楽に合わせ鳴らしてはいましたが、自分たちで楽器を作ったわけでも、曲を作ったわけでも、自分たちでテンポやキイを決めたわけでもありません。
おそらく人間が奏でているような「音楽」は、他の生き物たちにはないものではないでしょうか?
♪
音楽は神様が人間にだけ授けてくださった特別のプレゼントとも言えるかもしれません。
古代から人間が音楽を奏でる上でもっとも重要だった場面は、さまざまな儀式、祀り(祭り)、礼拝…といった「神様と接する場面」が圧倒的に多かったはずです。
キリスト教の教会で聖歌が歌われ、グレゴリー聖歌・教会旋法が生み出され、イスラムの世界では独特の節まわしによってコーランが唱えられ、アジアでも神を祀る祭りで楽曲が奏でられ、日本では雅楽が生まれ、仏教の世界でもお経から声明(しょうみょう)が生まれ…
さらに古い記録がどれほど残っているかは不明ですが、おそらく石器時代にもすでに人はものを叩いて音を鳴らす、管状のものを吹いて鳴らす、弦をこすったりはじいたりして音を鳴らす…といったことを日常の中で発見し、道具を作る中で楽器のようなものも作っていたに違いありません。
大陸から日本の各地にかけても、古くは鏡(自分の姿を映す道具であると同時に神聖な神具でもあった)と一緒に銅鐸(どうたく)も出土しています。
そして音楽は、神にささげるためだけではなく、労働するときにただ頑張って力を出すよりも音(おもにリズム)に合わせて皆で力を合わせた方が大きな力を出せる力を持っていたり、人のこころを慰めたり癒す力があったことも知っていったのではないでしょうか。
今日でいう労働歌であったり、音楽療法で再発見されているようなさまざまな「音楽の力」を、われわれの祖先である古代の人たちもすでに知っていたのではないか、と私は考えています。
◆クラシック音楽 (およそ300年前~)
このように音楽そのものは人類がこの世に生まれてからそれほど長い年月を要することなく自然発生的に生まれたのではないかと思われますが、今日「クラシック音楽」と呼ばれているような音楽の原型ができたのは、ルネッサンス・バロック時代以降でしょう。
「音楽の父」と言われるバッハの時代に平均律が生まれ、今日のピアノの原型であるハンマー・クラビーアが作られ、ストラディバリウスによって弦楽器の名器がつくられていったのは、今からちょうど300年ほど前のことです。
そしてバッハやヘンデルに次いで、ハイドンの時代に交響曲(オーケストラで演奏される曲)がつくられ、モーツァルト、ベートーヴェンといった古典音楽がドイツを中心に展開し、それがブラームスらによってロマン派へと引き継がれ、イタリア、フランス、ロシアにも優れた作曲家が多くの名曲を生み出し…
つまり現在「クラシック音楽」と総称される音楽は、ここ300年ほどの間に集中して生み出されてきたことになります。
それはまるで、「カンブリア爆発」とよばれる生命体の爆発的な誕生が一時期に集中して起こったように、またコロンブスやコペルニクスらによってそれまで未知に包まれていた地球の姿が一気に解き明かされたように、また今日われわれが使っているような文明の数々が産業革命以降わずか100年ほどの間に一気に生み出されたように…
◆100匹目のサル
「100匹目のサル」という喩え話があります。ある島に住むサルたちが、イモを海水で洗って食べると塩分が加わっておいしいことを発見しました。それが島のサルたちに伝わって広まっていくわけです。99匹までそれが伝わったころで、その島から遠く離れたまったく別の島で、突然イモを海水で洗って食べるサルが現れた…!
100匹目のサルは、「伝達」によって知ったのではありません。たまたま同じ時期に偶然の発見が別の場所で起きた喩えです。
長い長い人類の歴史の中で、たまたま同じような時期に、同じようなことを考えて解明する人が同時発生的に現れる…今日の科学技術における発明でもそうですが、ある程度の基礎的な知識が備わるまでの時間は必要ですが、それがある時たまたま似たようなことを思いつく人が現れ、どっちがタッチの差で先に発見するかを競い合う…不思議ですね。
◆地球は音楽のあふれる星
ところで、まだ見ぬ地球外生命の中にも音楽を奏でる仲間がいると思いますか?
私は個人的には宇宙人は怖くて嫌ですが、音楽を演奏する宇宙人とだったら会ってみたいと思います。
100年後には「宇宙人類学」や「宇宙音楽概論」といった講座もできているかもしれませんね(笑)。
「2001年宇宙の旅」のテーマにもなったR.シュトラウスの「ツァラツストラはかく語りき」やホルストの組曲「惑星」あたりを、地球人と宇宙人と合同で演奏し、巨大なスピーカーを使って銀河系に向けて響かせることができたら…
でも、残念ながらそれはできません。空気のない宇宙空間では音は伝わりませんから…(笑)
少なくとも今分かっている範囲で、音楽を演奏する生命体が存在し、音を鳴らして聴くことのできるのは、空気に満たされたこの美しい地球上だけなのです。
この地球に生きる人類として、目先の経済(お金の動き)や産業(企業活動)に振り回されることなく、また利害の対立からお互いが傷つけ合い殺し合うような過ちを繰り返すことなく、「音楽の力」をもっと共有して地球にいられる幸せを感じることができたら…