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ノーベル平和賞のマララさん、祖国パキスタンでは嫌悪の対象にも

2014年10月17日 15:47 発信地:イスラマバード/パキスタン

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ノーベル平和賞のマララさん、祖国パキスタンでは嫌悪の対象にも ▲ キャプション表示
×英中部バーミンガム(Birmingham)の学校でノーベル平和賞(Nobel Peace Prize)受賞を知り、記者会見の後に、花束を手に写真撮影に応じたパキスタンの人権活動家のマララ・ユスフザイ(Malala Yousafzai)さん(2014年10月10日撮影)。(c)AFP/OLI SCARFF
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【10月17日 AFP】マララ・ユスフザイ(Malala Yousafzai)さん(17)は、祖国パキスタンをおとしめる任務についた欧米の工作員──今年のノーベル平和賞(Nobel Peace Prize)受賞が決定した現在でも、一部の人々からはそのように思われ、嫌悪の対象として見られ続けている。

 マララさんは2年前、女性の教育を受ける権利を訴え、イスラム武装勢力「パキスタンのタリバン運動(Tehreek-e-Taliban PakistanTTP)」の戦闘員に頭を撃たれた。そのような背景から、イスラム強硬派がマララさんを今も非難し続けることは驚きに値しない。

 だがマララさんの支持者たちにとって理解が困難なのは、パキスタンの中間層から非難の声が出ている点だ。彼らは女子にも教育を受けさせたいと熱心ではあるが、自国の問題を国外で報じられることには反対している。

 マララさんを中傷する人たちは、一連の銃撃と入院、昏睡などがすべて、英国の関与した陰謀だったと信じている。「マララ・ユスフザイはノーベル賞じゃなくてアカデミー賞(Academy Awards)を授与されるべきだった」──ツイッター(Twitter)ユーザーのアドナン・カリム・ラナさんはマララさん批判者のよく使う言葉を書き込んだ。ソーシャルメディアではマララさんに対する「性的な中傷」も多く見られる。

■「米国の計略」

 マララさんに対する憎悪の一部は、保守的な宗教観や女性の地位向上の反対などに由来する。ただ、パキスタンの多くの人は同国における武装勢力との10年に及ぶ衝突が米国によってもたらされていると考えており、この衝突に対する疑念もマララさんへの憎悪につながっている。

 コラムニストのシリル・アルメイダ(Cyril Almeida)氏は「マララさんが体現したものが問題になっている。パキスタンの戦闘状態とタリバンとの戦いは、外部から持ち込まれた戦争だという考えだ。これは米国の計略と合致する。そして米国的なものはすべて、強い疑念の対象となるに値する」と指摘した。

 マララさんに批判的な人々は、パキスタンの少女たちが学校に通う様子を捉えた写真をソーシャルメディアに投稿し、タリバンが多くの学校を破壊したとするマララさんの発言がうそであると主張している。こういった「証拠」を投稿する人の多くは中道右派の野党、パキスタン正義運動(PTI)のイムラン・カーン(Imran Khan)党首の支持者らで、女性もいる。

「マララのことが嫌いな人々」と題されたSNSフェイスブック(Facebook)のページには、マララさんの顔写真に牙を合成した写真と、米軍無人機の攻撃で死亡したとされる子どもたちの遺体の写真が並べられていた。これはマララさんが美化される一方で、欧米の暴力による犠牲者たちのことは全く伝えられていないとの主張だという。(c)AFP/Masroor GILANI

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