ネットの「荒らし」とされた英国人女性が自殺か、誹謗中傷めぐる議論に
2014年10月17日 18:17 発信地:ロンドン/英国
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【10月17日 AFP】2007年にポルトガルで失踪した英国人女児マデリン・マクカーン(Madeleine McCann)ちゃんの両親に対し、インターネットで悪質な嫌がらせをしていたとの疑いをかけられた英国人女性が死亡した事件を受けて、インターネットで増加する「トロール(荒らし)」をめぐる議論が起きている。
ブレンダ・レイランド(Brenda Leyland)さん(63)は今月、マデリンちゃんの両親のケイト(Kate McCann)さんとゲリー(Gerry McCann)さんに対する誹謗中傷をインターネットに投稿していたと英ニュース専門局スカイニューズ(Sky News)に詰め寄られた後、ホテルの一室で遺体で発見された。捜査は継続中だが犯罪性や第三者の関与の痕跡は見つかっていないという。
レイランドさんはマイクロブログのツイッター(Twitter)で「@Sweepyface」というアカウントを使い、マクカーン夫妻に対する大量の誹謗中傷メッセージを投稿したとされている。
レイランドさんの名前は、マクカーン夫妻と子どもたちに対する中傷などに関与したとされる80ページに上る関係人物リストから見つかった。現在警察当局は、このリストをもとに捜査を行っている。
こういった誹謗中傷は、世界各地で有名人らを対象に繰り返されてきた。
米俳優ロビン・ウィリアムズ(Robin Williams)さんの娘、ゼルダ・ウィリアムズ(Zelda Williams)さんは最近、「荒らし」たちに父親の遺体だと言われて偽造写真を見せられ、ツイッターの利用をやめた。
元モデルのシャーロット・ドーソン(Charlotte Dawson)さんは今年2月、うつ病での闘病の末、豪シドニー(Sydney)のマンションで遺体で発見された。ドーソンさんはツイッターでおびただしい数の中傷を浴びていた。
■世界的な課題
メディア問題を専門とする英弁護士のマーク・スティーブンス(Mark Stephens)氏は「どの国もこの問題に直面している」と語る。国によって出来事は多少異なるが、根本的には似た問題が起きており、オンラインいじめ問題は「急増」しているという。
だがスティーブンス氏は、特に極端な事例のみ刑事訴追するべきだと提案する。「執着して、極端なことをするのはごく少数だ」
英公訴局(Crown Prosecution Service、CPS)は弁護士に対し、ソーシャルメディアを通じて送られたメッセージは「信頼に足る暴力の危険性」が含まれている場合や、「ハラスメントやストーカー行為を構成する可能性がある」方法で個人を標的にした場合に、犯罪となる可能性があると指導している。
マクカーン夫妻に怒りを爆発させたレイランドさんは、英国の穏やかな田舎に暮らし教会に通う2児の母だった。何が怒りの原因だったのかは今もなお分かっていない。
カナダの研究チームがサイコロジー・トゥデイ(Psychology Today)誌に発表した報告書によると、「荒らし」はサディズムと関係があるという。「荒らしとサディストはともに、他人の不快を見て嗜虐的な快楽を得る。サディストはただ楽しみを求めている…そしてインターネットが彼らの遊び場なのだ」と報告書は述べた。(c)AFP/Ruth HOLMES
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