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【日本の議論】見直される「魂の殺人=強姦罪」の法定刑…「性交同意年齢」引き上げ論議も、慎重意見も根強く

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【日本の議論】
見直される「魂の殺人=強姦罪」の法定刑…「性交同意年齢」引き上げ論議も、慎重意見も根強く

日本外国特派員協会で「性犯罪の厳罰化」について見解を語る松島みどり法相=9月26日、東京都千代田区

 まず、法定刑。刑法では、強姦罪で「3年以上の懲役」、強盗罪で「5年以上の懲役」が下限となっており、強盗罪の方が重い。さらに、強姦致死傷罪で「5年以上または無期の懲役」、強盗致傷罪で「6年以上または無期の懲役」、強盗致死罪で「死刑または無期懲役」と定めている。

 なぜ強姦罪の方が強盗罪より軽いのか-。法務省刑事局は「強盗罪が成立するには、被害者の抵抗を『抑圧する程度』の暴行脅迫が必要だが、強姦罪の場合は被害者の抵抗を『著しく困難にする程度』となっている。つまり、暴行脅迫の度合いが強姦の方が強盗に比べ弱いため、法定刑も軽くなっている」と説明する。

感情論で終わらせないために…

 これについて、女性に対する暴力の被害相談を受け付ける「ウィメンズカウンセリング京都」の井上摩耶子代表理事は「刑法ができた明治時代は女性の地位が低く、強姦が女性の(性交の相手を選ぶ権利である)『性的自己決定権』を侵害するという社会的意識がなかった」と指摘する。

 時はたち、現代になってスーパーフリー集団暴行事件が発生したことなどを受け、平成16年には強姦罪の法定刑の下限が1年引き上げられた。一方、強盗致傷罪の法定刑の下限が1年短くなったことで、差は縮まった。また、強姦致死傷罪の法定刑は「無期または3年以上の懲役」だったのが、下限が5年以上の懲役となった。

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