北川景子、森田監督の魂継ぐ「の・ようなもの」続編でヒロイン
女優の北川景子(28)が、故・森田芳光監督(享年61歳)の代表作の続編となる映画「の・ようなもの のようなもの(仮題)」(杉山泰一監督、来年公開)にヒロイン役で出演する。森田監督の「間宮兄弟」(06年公開)で映画デビューを飾って以来、“門下生”として3本の森田作品にも出演してきた北川は「女優をやめなかったのは森田さんのおかげ。森田さんがやってきたことを継承したい」と恩返しを誓った。
「の・ようなもの のようなもの」は、二ツ目(真打ちの1つ下の身分)の若い落語家の青春を描いた81年の映画「の・ようなもの」の続編的な映画。松山ケンイチ(29)演じる主人公の新米落語家・出船亭志ん田が、師匠の志ん米(尾藤イサオ)から、一門を離れている前作の主人公・出船亭志ん魚(伊藤克信)を探し出すように頼まれ、多くの人を訪ねて回る。
北川が演じるのは、師匠・志ん米の娘・夕美。きっぷのいい下町っ子で、どこか頼りない志ん田をしった激励しながら手助けする。「間宮―」での役と同じという設定で「すごく純真でパワフルなのが夕美のいいところ。間宮兄弟の時のまま、そこはきちんと演じようと心掛けました」。
スタッフも杉山監督以下、ほぼ森田組の面々が集結した。「本当の家族のように温かくて、映画の好きな人たち。森田監督もすぐそこで見てくれている気がしました」と振り返った。
森田監督作品には「間宮―」のオーディションで見初められて以来、3本に出演。「『間宮兄弟』のクランクアップの時に『女優やめないでくださいね』と言ってくださって。やめようと思ったこともあったけど、その一言が最後の勇気になって続けられた」。森田監督から学んだのは「日常の中にたくさんおもしろいことがある」という視点。「芝居も笑わせにいったり、泣かせにいくのではなく、一生懸命その映画の中に息づくことが正しいんだと考えるようになりました。デビューの時にそれを体感できたのはすごく大きかった」
その恩師と松山の3人で映画「サウスバウンド」の舞台あいさつに立った際には「今度はおまえら2人の映画を撮って3人で全国キャンペーンを回ろう」と構想を話していたが、11年12月に急性肝不全で他界。果たせなかった約束を、残された森田組のスタッフが受け継いで本作につながった。「存在が大きすぎて心が折れそうになりましたが、悲しんでるだけではいけない。松山さんも含めて森田さんのやってきたことを継承できるように頑張っていきたい」。スター女優となった今も、森田監督の教えが息づいている。