御嶽山噴火:火山灰との戦い、雨、降雪…捜索打ち切り苦渋
毎日新聞 2014年10月16日 22時13分(最終更新 10月17日 00時27分)
56人が死亡、少なくとも7人が行方不明になっている御嶽山(おんたけさん、長野・岐阜県境、3067メートル)の噴火で、長野県と岐阜県の災害対策本部は16日、年内の捜索を同日で打ち切ることを決めた。
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阿部守一・長野県知事は報道陣から捜索方針を問われるたび、「全力で続ける」と繰り返してきた。だが15日夜、発言は「現捜索計画の終了時点で判断せざるを得ない」に変わった。
台風19号の接近で13、14日の捜索は中止。3日ぶりに再開された15日は午後から降雨が予想され、約1900人態勢で臨んだものの約2時間で中止を余儀なくされた。山頂付近で積雪が初めて確認されたのも、この日だった。
水分を含んだ火山灰の上に雪が積もった「知見がない」(専門家)状況下の捜索。それが現実味を帯びてきた。本格的な降雪時期までのわずかな間、現場に投入する部隊をさらに増やそうとしても、捜索隊関係者は「ヘリの輸送力から、これ以上は無理」と明かす。15日昼に知事と話した県関係者によると、「線引き(終了時期)が難しいですね」と話しかけると、知事は「そうなんです」と厳しい表情でうなずいたという。
16日午前、行方不明者の家族に打診し、希望した5家族19人が自衛隊のヘリに乗り、上空から山頂の捜索活動を見届けた。行方不明者の家族待機所がある長野県木曽町の原久仁男町長によると、数日前に阿部知事から「家族に現地を見せたい」との電話が入ったという。
御嶽山は11月、稜線(りょうせん)に雪が積もり始め、やがて積雪は2メートルに達する。【福富智】